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第六十八話 夏の服なのでその一

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               第六十八話  夏の服なので
 理虹はこの合宿ではランニングとサーキットが中心だった、兎角走ってそうしたことをして汗をかいていたが。
 その中でだ、同じ陸上部の同級生アメリカから来たアフリカ系の娘に言われた。
「あんたブラ透けてるわよ」
「えっ、そうなの」
「シャツが濡れてね」
「うわっ、確かに」
 見れば白いシャツがそうなっていてブラが見えていた。
「確かに」
「汗かなりかいたからね」
「もうシャツ濡れて」
「お肌にもひっついてよ」
 そうもなっていてというのだ。
「丸見えよ」
「これはまずいわね」
「着替えた方がいいわよ」
 アメリカから来た娘はすぐに言った。
「汗で身体も冷えるしね」
「そうよね」
「しかしあんたね」
 アメリカから来た娘はこうも言った。
「案外汗かくのね」
「そんなにだけれど」
 理虹はシャツを脱いで新しいシャツを着つつ話した。
「今日はね」
「汗かくの」
「日差し強いし」
 見ればそれはかなりのものだ。
「しかも気温も高いしで」
「そのせいでなの」
「神戸と比べたら」
 八条学園のあるその街とはというのだ。
「暑さが違うから」
「それでなのね」
「だからね」 
 それでというのだ。
「かなりかいてよ、いや神戸と違って」
「この江田島は」
「それで今日は特に暑いし練習もね」
 今日のそれはというのだ。
「かなりしてるし」
「そういうことね」
「ええ、しかし汗かいたから」
 ここで理虹はこうも言った。
「水分補給もしないとね」
「そうそう、熱中症になるわよ」
 アメリカから来た娘もそれはと応えた。
「このままだと」
「そうよね」
「スポーツドリンクをね」
「飲まないとね」
「普通のお水や麦茶よりも」
「夏運動してるとね」
 そして汗をかいた時はというのだ。
「スポーツドリンクがね」
「一番よ」
「そうよね」
 理虹もそれはと応えた。
「やっぱり」
「さもないとね」 
 それこそというのだ、アメリカから来た娘は応えた。
「熱中症になるしね」
「脱水症状にもなるから」
「よくないわよ、熱中症はね」
「なったら大変だから」
「それでよ」
「今みたいな時は」
「そっち飲んだ方がいいわ」
 こう理虹に話した。
「本当にね」
「そうするわ、ただ」
「ただ?」
「いや、夏って暑いから」
 自分でスポーツドリンクを取って飲みながら話した、ごくごくと喉を鳴らして結構な量を飲んでいる。
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