第十二幕その十二
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「そうしているよ」
「凄いわね」
「凄いかな」
「かなり凄いわ、私はかなり喋られる様になったけれど」
サラはお箸で牛タンを焼いたものを取ってそれでご飯を食べつつ言います、見ればお箸の使い方も先生の方が上手です。
「それで読めるけれど」
「書く方もだね」
「出来る様になったけれど」
それでもというのです。
「考えることはね」
「ないんだね」
「英語を使っているわ」
そうだというのです。
「あんな難しい言葉は他にないから」
「あとバスク語も難しいね」
「スペインの」
「そうだけれどね」
「日本語とバスク語は有り得ないわ」
こうも言うサラでした。
「難し過ぎるわ」
「かなり特殊な言語なのは間違いないね」
「そうだね」
先生も否定しませんでした。
「僕も思うよ、そして今はね」
「日本語で考えているのね」
「そうなんだ」
そうなっているというのです。
「今の僕はね」
「そうなのね。そういえばタキタロウっていう名前も」
サラは先生が調査したそのお魚の名前も出しました。
「そのまま日本語ね」
「そうなんだよね、これが」
「何か片仮名で書いてるけれど」
「平仮名だとたきたろうになるね」
「そうよね」
「漢字だと滝太郎かな」
先生はこちらもと言いました、
「そうなるかな」
「三つも文字があるからそうなるのね」
「それがまた難しいね」
「ええ、その日本語を頭の中で考えることに使う様になるなんて」
サラは驚きつつ先生に言いました。
「兄さんもすっかり日本に馴染んだわね」
「そうなったね、本当に」
「嬉しいのね、そのことが」
「これはこれでね、だからこれからもだよ」
「日本で暮らしていくのね」
「皆と一緒にね」
先生はサラに緑茶を飲みつつ答えました。
「そうしていくよ、幸せに」
「満足しているのね」
「そうだよ、これ以上はないまでにね」
「後は結婚だけね」
「結婚?もう充分過ぎる程幸せだしね」
それでと返す先生でした。
「それに相手もいないから」
「いいのね」
「うん、別にいいよ」
「相手はいないというのはどうかしらね」
サラは微笑んで言いました。
「果たして」
「いや、いないよ」
「兄さんがそう思っていてもよ」
それはわからないとです、サラは先生に言います。ですが先生はこのことはあくまでわからなくてです。
また笑ってです、妹さんに答えました。
「どう考えてもそれはないよ」
「兄さんだけよ、そう思っているのは」
サラはやれやれといったお顔で返します、ですがそれでもでした。
その先生とお話をしていきます、幸せに包まれている先生にさらに幸せになれると。そしてこうも言いました。
「また何かあればね」
「その時はだね」
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