第十二幕その十一
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「このほやもね」
「凄いんだね」
「私は食べられるけれど」
「それは何よりだよ」
「食べられてもね」
それでもというのです。
「あまりね」
「好きじゃないんだ」
「癖が強過ぎるわ」
「そうなんだね」
「ええ、ただ好きな人は好きなのね」
「僕にしてもね」
先生は妹さんに微笑んで答えました。
「結構ね」
「そうなのね」
「そうだよ、しかしね」
「しかし?」
「いや、食べられるだけでもね」
それだけでというのです。
「よかったよ」
「そうなの」
「うん、サラもね」
「多分これから食べることはないわね」
「積極的にはだね」
「おそらくね。納豆とあとくさやもだけれど」
こうした食べものもというのです。
「積極的にはね」
「食べないんだね」
「自分からはね。兄さんは納豆も好きよね」
「そうだよ」
先生はサラと一緒に食べつつ答えました。
「よく食べるよ」
「そうよね」
「あの匂いと外見もね」
「いいのね」
「好きになるとね」
そうなると、というのです。
「あれはあれでね」
「いいのね」
「そうなんだ、ウォッシュチーズもいいね」
「日本の人達は逆にそっちが駄目な人が多いわね」
「そう、けれどね」
それでもというのです。
「僕はそちらも好きなんだよね」
「匂いのするものも好きってことね」
「好き嫌いはないね」
食べもののというのです。
「本当に。ほやにしてもね」
「兄さん美味しそうに食べてるわね」
「実際に好きだよ」
先生はお箸をほやを取ってお口の中に入れて笑顔でお話します。
「ほやもね」
「そうなのね」
「お酒にも合うしね」
「日本酒ね」
「サラも日本酒はいけるよね」
先生は妹さんにほやを食べながら応えます、ただお昼なのでお酒は飲んでいません。
「そうだね」
「そちらはね、ただね」
「ただ?」
「兄さんどんどん日本に馴染んで」
そうなっていてというのです。
「日本人に見えてきたわ」
「実はもう頭の中で考える言葉もね」
先生はサラにもお話しました。
「日本語になってるんだ」
「そこまで日本に馴染んでるの」
「そうなんだ」
「あんな難しい言葉で考えるの」
「来日してから徐々にそうなってね」
そしてというのです。
「今ではね」
「日本語でなのね」
「考えているんだ」
「そうなったのね」
「漢字に平仮名と片仮名でね」
三つの文字を使ってというのです。
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