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第八話 記憶その九

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 征一狼は漫画家の職場に行って原稿を貰って編集部に戻った、その時にだ。
 ふとだ、遊人と擦れ違ってだ、お互いに振りむき合って話した。
「まさか」
「貴方もですか」
「そうですか、まさかです」
「ここでお会いするとは思いませんでしたね」
「公務員の方でしょうか」
 征一狼は遊人に尋ねた。
「そうでしょうか」
「そうです、よくわかりましたね」
「そうした雰囲気でしたので」
 遊人に微笑んで話した。
「どうも」
「よくホストみたいだと言われますよ」
「ははは、そうですか」
「ええ、一目でおわかりとは」
「思いませんでしたか」
「貴方がはじめてです、ただ」
 遊人は征一狼にまた言った。
「貴方は天の龍の方ですね」
「そして貴方は地の龍の方ですね」
「悪い印象は受けないですが」
「僕もです、ですが」
「お互いの立場なので」
「その時が来れば」
 まさにというのだ。
「戦わねばならないですね」
「そうですね、因果なものですね」
「全くです、ですが」
「それでもですね」
「その時が来れば」
「戦いますか」
「そうしましょう」
 こうした話もした、そしてだった。
 仕事が終わり議事堂に行くとだ、空汰に封真達の家に神威との親睦を深める為に行くという話を聞いた。
 するとだ、彼は笑顔で言った。
「いいですね、ではです」
「蒼軌さんも来てくれますか」
「征一狼でいいですよ、そうさせて頂きます」
 空汰に優しい笑顔で答えた。
「家族には断わって」
「征一狼さんご家族おられるんですか」
「はい、妻と娘が」 
 今度は護刃に答えた。
「そうなのです」
「そうだったんですね」
「僕にとってかけがえのないものです」
「ご家族は」
「大切にしているつもりです」
「それは何よりですね」
「征一狼さんはとても優しい人なんだ」
 玳透が護刃に話した。
「僕の従兄にあたるけれど」
「あっ、そうでしたね」
「いつも優しくしてもらってるよ」
「そうなんですね」
「修行の時もね、怒ったところを見たところがないよ」
「いえ、玳透君はとても優秀なので」
 征一狼も話した。
「僕から言うことがないだけです」
「はい、玳透さんはとても優秀な方です」
 丁もここで言ってきた。
「ですからわらわもです」
「護衛にされていますね」
「頼りにして」
 そうしてというのだ。
「そのうえで」
「そうですね」
「ですが若し神威と親睦を深めるなら」
 丁はあらためて話した。
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