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X ーthe another storyー
第八話 記憶その八

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「だからね」
「それでなんですか」
「ええ」
 まさにというのだ。
「毎日走ったりこうしてね」
「自転車に乗られて」
「学園のジムを使うことも多いわ」
「学園?」
「クランプ学園のね」
「あっ、私今中等部に所属しています」 
 護刃は自分を自分の右手の人差し指で指差しつつ笑顔で話した。
「貴女は高等部ですか」
「わかるのね」
「私より年上に思いましたから」
「そうよ、私は高等部に所属しているわ」
 その通りだとだ、颯姫は護刃に答えた。
「八頭司颯姫、宜しくね」
「猫依護刃です」
 護刃も名乗った、颯姫とは対照的に明るく元気がいい。
「それでこの子は犬鬼です」
「犬鬼ね、わかったわ」
 護刃の傍に礼儀正しく座っている彼も見て応えた。
「賢くて優しい子ね」
「はい、凄く」
「大事にしなさい」
 犬鬼を見つつ護刃に話した。
「貴女の貴重な護り手だから」
「そうなんです、いつも助けてもらってます」
「そうしなさい、ではまたね」
「はい、クランプ学園でお会いしましたら」
「宜しくね。そして」
 颯姫はさらに言った。
「今日はこれでトレーニングを再開するから」
「それで、ですね」
「また何かあれば」
「会いましょう」
「わかりました」
「学校で会えば挨拶をしてね」
 そうしてというのだ。
「お話が出来るけれど。それでも」
「それでも?」
「何でもないわ」
 そこから先は言わなかった。
「気にしないで」
「そうですか」
「ええ、けれどね」
 それでもと言うのだった。
「今日はこれでね」
「お別れですね」
「そうなるわ」
「はい、それでは」
「また会いましょう」
 こう話してそうしてだった。
 颯姫は再び自転車を動かす護刃の前から消えた、そうして護刃は犬鬼と共に東京の街を楽しんだ。その頃だった。
 とある出版社の月刊漫画雑誌の編集部はいつも通り蜂の巣を突いた様な大騒ぎだった、その中において。
 征一狼は編集長に笑顔で話した。
「秋山先生今月もです」
「締め切り間に合ったのね」
「はい」
 編集長に明るい笑顔で話した。
「そうなりました」
「それは何よりね、やっぱりね」
「締め切りが間に合いますと」
「それだけでほっとするわ」
「そうですよね」
「ではね」
「はい、後はですね」
 征一狼は編集長に笑顔で応えた。
「原稿を頂いてきます」
「宜しくね」
「今から先生のところに行ってきます」
「そうしてね」
 こう話してだった。
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