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俺様勇者と武闘家日記
第2部
第2部 閑話
テドンでの一夜(ユウリ視点)
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……よかった。 元気になったみたいだね。 体調は大丈夫?  すごく疲れてたみたいだったけど……」
「ああ。 おかげで随分楽になった」
「そっか。 安心したよ」
 そう言って綻ぶこいつの顔は、無理をしているように見えた。先程まで普通の町だと思っていたのが、急に亡霊の町へと変貌してしまったのだから、ショックを受けていたのかもしれない。
「あの、ユウリ……」
「昨日は、ありがとな」
 このまま黙っているのは俺の性に合わないので、こちらから礼を言った。 だがこの女は、本気で心当たりがないのか、間抜け顔をさらに間抜けにして考え込んでいる。
「えっと、なんかお礼を言われるようなことしたっけ? 」
 俺はあからさまにため息をついた。
「俺が倒れたあと、部屋まで運んでくれただろ」
「ああ、別にお礼を言われるほどのことじゃないよ。 それより、夕べはあれからゆっくり休めた? 」
 この女、どこまでもボケてやがる。俺はこの何も考えてなさそうなボケ女からわざとらしく視線をそらした。
「ああ。お前が隣で寝てくれたからな」
 皮肉混じりにそう言うと、さすがのボケ女も気づいたのか、慌てふためいた様子で反論する。
「ごめんなさい!! あの、誤解しないでほしいんだけどね? 夕べはあんまりにも寒くて死にそうだったから仕方なく一緒のベッドに入ってしまったわけで、別に他意があったわけじゃないから!」
 珍しく恥ずかしがる彼女の行動に、俺は続けて意地悪な質問をしてみる。
「他意って何だ? 」
「へ?  えーと、あの、そのだから……」
「説明出来ないようなことなのか?」
 必死に言葉を模索しているのか、彼女はさらに挙動不審になる。 その様子が可笑しくて、俺はいつのまにか口元が緩んでいたことに気づく。
「お前みたいな鈍感女でも、人並みに恥ずかしがることがあるんだな」
「なっ……!? 」
 今度は怒りからか顔を赤くして、俺を睨み付けてきた。 よく飽きもせず表情を変えられるものだ。
 ……いや、これ以上からかうのは俺の性分に合わない。この辺りでやめておこう。
「冗談だ。俺の方こそ、ベッドを独り占めしてしまってすまなかった」
 すると彼女は俺の態度が意外だったのか、怒りを忘れたかのようにすぐに眉根を下げた。
「ううん、具合が悪かったんだからお互い様だよ。私の方こそ、勝手にベッドに入っちゃって、ごめんなさい」
「そうならざるを得ない状況だったんだろ。気にするな」
 俺は柄にもなく、こいつの身を案じるようなセリフを投げかけて、後悔した。見ると間抜け女も、心なしか照れているように見える。
 今までの俺なら、絶対に言わないセリフだ。だが、こいつと関わって、なぜかわからないが、自分の中の価値観が少しずつ変わっていっている気がする。
 いや、こんな
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