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俺様勇者と武闘家日記
第2部
第2部 閑話
テドンでの一夜(ユウリ視点)
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 これはいったいどういうことだ?
 気づいたのは明け方ごろ。閉じていた瞼の上から、少しずつ光が降り注いで来るのがわかる。
 と同時に肌寒さを感じ、思わず俺は近くにある暖かいものに身を委ねた。そして再び、深い眠りへと誘われそうになった時、俺はなぜか違和感を覚えて無理やり目を開けた。
「!!??」
 目を開けて最初に飛び込んできたのは、黒い頭だった。なぜ目の前に頭が見えるのだろう。ぼんやりとした意識のまま視線を下げると、そこには見慣れた間抜け顔が寝息を立てているではないか。
 その瞬間、俺は声を上げる前にベッドから跳ね起きた。信じがたい事実だが、俺は今までこいつと同じベッドで寝ていたらしい。しかも、曖昧な感覚ではあったが、おそらく今まで俺はこいつを抱き枕がわりにして抱きしめていたようだ。
 そのあまりに不可解な出来事に、俺の頭はしばらく思考停止状態となった。 そして、このあり得ない現状を受け入れた途端、かつてないほどの羞恥心がまるで津波のように押し寄せてきた。
 どういうことだ!? なんでこんな状況になっている!?
 俺は頭をフル回転させて昨夜の記憶を呼び起こした。確か昨日は体調が悪いままこの宿屋に泊まったんだ。だが、ここに到着してからの記憶が思い出せない。そもそも、どっちが先にベッドに入ったんだ?  普通に考えて、二人で一緒のベッドに入るなんてことにはならないはずだ。
 ……いや、よく見たら、ベッドは一つしかない。だが、ここまでの記憶がないということは、俺が自力でベッドに入ったのは考えにくい。
 だとしたら……、こいつが意識のない俺をベッドまで運んだんだろう。 だが、俺が唯一のベッドを使ってしまったせいで、こいつの寝る場所がなくなった。さすがにこの寒さでは、床で寝るには辛すぎたんだろう。 それでこいつは、仕方なく一緒のベッドに入ったのだ。そう考えると合点がいく。
 状況が把握できたところで、俺は改めて間抜け女の寝顔を見た。どんな夢を見ているか知らないが、随分と気持ちよさそうに眠っている。気楽な奴だ。
「うぅ……、ユウリ……。だめだよ、そんなところで呪文を唱えちゃ……」
「……」
 一瞬、こいつの寝顔にベギラマでもぶち込もうかと思ったが、それはさすがに理不尽だと気づき、手を引っ込める。
 それはそうと、すやすやと寝息を立てている彼女の姿は、あまりにも無防備だ。いくら野宿で一緒に寝ることに慣れているとはいえ、年頃の男とこんな密着した状態で普通に寝られるとか、鈍感にもほどがあるんじゃないか? 
 ちなみに、勇者である俺はこんなことでは取り乱したりしない。一応こいつは生物学的上女だが、女性的な魅力は何一つ備わっていない。だからたとえこんな風に身を寄せ合って寝ていても、驚きはすれど心を乱されることなんてあるわけがないのだ。
「…
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