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八条学園騒動記
第六百八十八話 オーストラリア人としてその九

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「もう人間じゃないでしょ」
「というかね」 
 トブは兄に考える顔で述べた。
「黒人リーグって何?」
「言わなかった?昔アメリカにあったんだ」
「そうなんだ」
「黒人選手のプロ野球のリーグだよ」
「そんなのあったんだ」
「昔はね」 
 二十世紀はというのだ。
「そうだったんだ」
「そうなんだ」
「差別があって」
 それでというのだ。
「黒人の人はね」
「アメリカのだね」
「そこでしかだったんだ」
「そうだったんだ」
「本当に昔だよ」
「今じゃ考えられないね」
「うん、けれどそうしたリーグがあって」
 そうしてとだ、ベンは弟にさらに話した。
「そこでね」
「サチェル=ペイジもいたんだ」
「後でメジャーにも入ったけれど」
 メジャーで黒人の加入も認められてだ。
「そうだけれど選手生活の大半はね」
「黒人リーグで投げていたんだ」
「もうとんでもない身体のバネとスタミナで」
 この二つを併せ持っていてというのだ。
「それでね」
「そのうえでなんだ」
「球が凄く速くて」
「どれ位?」
「一七〇出ていたとか」
「それも嘘じゃない?」 
 トブはその球速に即座に突っ込みを入れた。
「流石に」
「速過ぎるね」
「うん、幾ら何でも」
「それで物凄くコントロールよかったそうだよ」
「コントロールは信じられても」 
 それでもというのだ。
「幾ら何でも」
「この球速はだね」
「ないよ」
 こう言うのだった。
「ちょっと以上にね」
「だからスポーツはね」
「与太話がだね」
「多分に入るから」
 そうした世界だというのだ。
「だからね」
「それでなんだ」
「ちょっとね」
「本当かどうかだね」
「言い切れないよ」
 ベンにしてもだった。
「ちょっと以上にね」
「そうなんだね」
「格闘技になったら」
 こちらのジャンルはというと。
「もう余計にね」
「尾鰭が付いて」
「とんでもない話になるから」
「野球以上になんだ」
「ピストル持った暴漢に素手で勝ったとか」
「いや、それかなり強くないと無理でしょ」 
 ケイトが言ってきた。
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