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星河の覇皇
第八十三部第三章 今だ目覚めずその二十九

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「余剰戦力はな」
「だからこそですね」
「あえて置いているしな」
「あの時もですね」
「そうしている、ティムール軍の予備戦力は少ない」
 これは国力と人口そしてそこから出される軍の数が関係していることは言うまでもない、ティムールはオムダーマンより国力が低くどうしても軍の規模も劣っているのだ。
「それでだ」
「いざという時にですね」
「戦力がなくなる」
「そしてシャイターン主席も」
「そのことは承知していた」
 他ならぬ彼もというのだ。
「間違いなくな」
「左様ですね」
「そのうえでだ」
「戦っておられましたね」
「今もだが」
 こう前置きしてだ、アッディーンは話した。
「消耗戦もな」
「勝利、統一の為にはですね」
「考えている」
「左様ですね」
「そうだった、予備戦力のない敵に勝つには」
 こちらに予備戦力があればだ、この二つの条件があればどうして戦うべきであるか。アッディーンは話した。
「やはりな」
「それは、ですね」
「こちらの予備戦力を使うことだ」
「そしてその際には」
「消耗戦になろうともな」
「勝利の為には構わないですね」
「二次大戦中のソ連と同じだ」
 この国と、というのだ。
「ソ連はあの時まさに国民皆兵としてだ」
 その様にしてというのだ。
「そしてだ」
「戦いましたね」
「そうしてだ」
 アッディーンはさらに言った。
「勝ったが」
「ソ連の損害は想像を絶するものであり」
 バヤズィトが言うことはというと。
「あれではです」
「やるべきではない」
「そう言ってもいいものでした」
「そうだ、あれはだ」
 まさにとだ、アッディーンは話した。
「消耗戦でも最悪でだ」
「勝つには勝ちましたが」
「ソ連は荒廃しきった」
「そして人口も」
「男子の数が激減した」
 これがソ連が勝利で得たものだったのだ。
「二千万、当時のソ連の人口の何分の一が死んだか」
「そう考えますと」
「あれは失格だ」
 最早というのだ。
「消耗戦の中でもな」
「そして消耗戦自体が」
「出来るだけな」
「しないに越したことはないものですね」
「それを行うとな」
 どうしてもというのだ。
「ああなってします」
「左様ですね」
「それ故にだ」
 アッディーンはさらに話した。
「私としてはだ」
「消耗戦は考慮されていても」
「最後の最後だ」
 その時に執るものだというのだ。
「あくまでな」
「だからこそですね」
「シャイターン主席の不在は奇貨だ」 
 それになるというのだ。
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