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イベリス
第八十八話 合宿を過ごしてその六

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「ないけれどね」
「咲っちもなのね」
「人間生きてると何度かそうなることがあるらしいわね」
 人生の中でだ、人生は様々なことがありその中には絶望することもままにしてあるものだ。そして絶望しきるとそうなるのだ。
「目の前が真っ暗になるって」
「文字通りみたいね」
「もうどうしようもなく絶望して」
 そうなってというのだ。
「それでよ」
「なるのね」
「そう言われてるけれど」
「咲っちもそこまではなのね」
「絶望したことはないわ」
 こう彼女に話した。
「私はね、けれど落ち込んでる時は」
「笑うなんてね」
「とてもね」 
 それこそというのだ。
「出来るものじゃないわよね」
「そうよね、けれどね」
「そうした時こそなのね」
「笑えたら」
 そのマカロニほうれん荘を手に話した。
「勝ちってね」
「言われてるのね」
「そうね、だからこの漫画をね」
「読むといいのね」
「もう読んだら」
 そうすると、というのだ。
「それだけでね」
「笑えるのね」
「笑い転げてるでしょ、私」
「確かにね」
 彼女もその通りだと答えた。
「そんな笑ってる咲っち見たことないわ」
「そうでしょ、私も漫画でこんなに笑ったことはね」
「ないのね」
「ちょっと記憶にないわ」
 こう同級生に答えた。
「わたしもね」
「やっぱりそうなのね」
「笑い過ぎて」
 それでというのだ。
「腹筋が心配よ」
「筋肉痛になりそう?」
「腹筋そうなったことないけれどね」
「それでもなのね」
「今日は笑い過ぎて」
 それでというのだ。
「もうね」
「腹筋が心配なのね」
「そうよ、そこまで笑えるから」
 だからだとだ、また言うのだった。
「あんたもね」
「読むといいのね」
「一巻から凄いから」
 そのギャグはというのだ。
「だからね」
「読むといいのね」
「ええ」
 まさにとだ、再び勧めた。
「腹筋鍛えられるわよ」
「じゃあね」
「ええ、一巻から読んでね」
「そうするわ」
 こう咲に答えてだった。
 この同級生も読んでみた、すると。
 咲以上に笑い転げてだ、こう言った。
「これは凄いわ」
「そうでしょ」
「滅茶苦茶パワーがあってね」
「センスいいでしょ」
「こんな漫画あったのね」
「そうなのよ、昔は」
「昭和の漫画よね」
「五十年代前半のね」
 その頃のというのだ。
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