第十二幕その四
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「ほやも買ったしどうかな」
「ほや?仙台の?」
王子はほやと聞いて怪訝なお顔になって先生に尋ねました。
「あの」
「そう、そのほやだよ」
先生は王子に明るく答えました。
「海のね」
「やっぱりそれだけ」
「王子は食べたことがあるかな」
「あるけれど不思議な味だね」
王子は少し難しそうなお顔になって先生に答えました。
「ほやは」
「珍味と言っていいね」
「僕は食べられるけれど」
「それでもだね」
「かなり癖の強い味だから」
こうも言うのでした。
「好き嫌いが分かれるところだね」
「そうだね」
「日本人の間でもそうだね」
「好きな人は好きだけれどね」
「苦手な人はだね」
「どうしてもだよ」
それこそというのです。
「食べられないよ」
「そうだよね、ほやは」
「イギリスではないですね、ほやは」
トミーは祖国のことを思い出しました。
「そうですね」
「ないよ、というかイギリスの海産物は」
「イギリス人あまり食べないですね」
「そうだからね」
7烏賊も食べない位だから」
それでというのです。
「ほやなんて若しイギリス近海にいても」
「沿岸部にね」
「食べないですね」
「そうだろうね」
「海鼠も食べないですし」
この海の幸もというのです。
「凄く美味しいですが」
「海鼠いいよね」
「美味しいよね」
「それもかなりね」
「そうだよね」
「その海鼠もね」
これもというのです、先生も。
「イギリス人は食べものと思っていなかったしね」
「もう何これだよね」
「イギリス人にとっては」
「もうね」
「そうだよね」
「だからほやなんてね」
それこそというのです。
「食べられるなんてだよ」
「思わないね」
「もう夢にも」
「そうだよね」
「イギリス人は」
「そうだよ、果たしてサラに出しても食べるか」
先生は心から思いました。
「わからないね」
「食べたら面白いけれどね」
「サラさんがね」
「珍味でしかも身体にもいい」
「そうしたものだけれどね」
「伊達政宗さんも食べていてね」
この人もというのです。
「お汁まで飲む様に家臣の人達にお話していたんだ」
「仙台っていうと政宗さんだよね」
王子はその人のお名前を聞いて言いました。
「何といっても」
「そうだね」
「うん、仙台があそこまで発展している土台を作ったね」
「仙台藩の藩主としてね」
「それで今でもだね」
「仙台というとあの人だよ」
先生は王子に笑顔でお話しました。
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