第八話 記憶その二
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「運命の戦いの時にな」
「わい死ぬんかいな」
「おなごを守ってな」
「そうなんか、まあ戦いになったらな」
空汰は両手を自分の頭の後ろにやって述べた。
「生き死には当然な」
「あることだな」
「そやからな」
「死んでもか」
「しゃあないわ、わいも死ぬかもって思ってたし」
「だからか」
「その戦いで全力を尽くしてな」
そうしてというのだ。
「その女の人を守ってな」
「死ぬか」
「人間守ってな」
そのうえでというのだ。
「そうしてくるわ」
「運命を受け入れてか」
「運命からは逃げられんやろ」
「うむ」
僧侶は空汰に確かな声で答えた。
「やはりな」
「それが運命やねんな」
「逃れようとしてもな」
例えそうしてもというのだ。
「運命は何処までも追いかけてきてな」
「捕まえてやな」
「そこに巻き込む」
「前にも話してくれたな」
「そうしたものだ」
「そやからな」
僧侶に笑って話した。
「わいは逃げんでな」
「そうしてか」
「そしてな」
そのうえでというのだ。
「その女の人守って」
「そうしてか」
「死ぬわ、そして人間もな」
「守るか」
「そうするわ、ただな」
僧侶を見てこうも言った。
「その女の人が出来るだけ別嬪さんである様にな」
「そのことをか」
「じっちゃん願ってくれるか」
頼み込む声と仕草で話した。
「そうしてくれるかいな」
「よいぞ」
僧侶は空汰の願に笑って応えた。
「ではな」
「願ってくれるか」
「うむ」
是非にという言葉だった。
「そうしておくな」
「有り難いわ、ほなな」
「これからか」
「ちょっと今日はこのままな」
「逃げ切るか」
「そうするわ」
やはり笑って話した。
「このままな」
「また明日怒られるぞ」
「朝飯前の修行の時にやな」
「うむ、ここはしっかりとな」
「出て誤った方がええか」
「そうじゃ、皆の分は残しておろう」
「独り占めはあかんしな」
空汰もそれはと答えた。
「あくまで余った分だけ貰ったわ」
「なら許してもらえる、多少のつまみ食いではじゃ」
「皆怒らへんか」
「うむ、それでじゃ」
「じっちゃんが言うにはな」
「ちょっと叱られるだけじゃ」
「ほなちょっと行って来るわ」
空汰も頷いてだ、自分の分の饅頭を食べてからだった。
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