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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#03 "Treasure hunting"
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た軍人が一人。その隣りにガキを抱いた女と、もう一人別のガキが二人の前に立ってる。そんな写真だった。
「勲章ってさ、その人が精一杯やってきた証だろ。たくさん努力して、仲間にも助けられて、運も手伝って、やっと貰える。そういうものだろ」
「そんなものを、俺達が勝手に持っていっちゃいけないよ。 それを手にしていいのは、艦長自身と、彼の家族だけだろ」
「レヴィ。 頼むから
勲章
(
それ
)
はここに置いていこう。
もしどうしても持ち帰るんなら、 家族の元に帰してあげようよ。そんな面倒な事はごめんだって言うなら俺がやる。君に迷惑は掛けない。
お願いだから俺の言葉を真剣に考えてくれないか。頼む」
………正直、途中から話は聞き流してた。
ただ狭い室内じゃあ、野郎がアタシに向けてくる暑苦しい視線の方は簡単には受け流せない。
だから、アタシは懐から煙草を取り出す事にした。
まあ、一本火い点けてからだな。
ロック
(
ガキ
)
の相手はそれからでいい。
「レヴィ。俺は………」
まだ何か
囀
(
さえ
)
ずっていたようだが、意識は唇に挟んだ煙草に向かっていたので良くは聞き取れなかった。
ま、んな事はどうでもいい。
先端に火を点け、一気に肺の奥深くまで煙を吸い込む。
喉の奥から鼻に抜けてくる臭いはこんな状況だってのに、いつもと何ら変わらねえもんに思えた。
口を少し開け、部屋の天井に向かって煙を吐き出す。
揺れながら立ち上ってゆく紫煙。
それをぼんやりと眺めているアタシ。
………ふうん。結局そうなんだな。
アンタは"そっち"の人間か。
「レヴィ。君が怒っても、呆れても当然だ。 でも俺は言いたい事は言う。 そう決めたんだ。 勲章を金に替えるなんて止めてくれ。 艦長の誇りを汚さないでやってくれ」
床に煙草を押し付けて揉み込むようにして消す。
「レヴィ!お願いだ!」
ロック
(
甘ちゃん
)
の顔にピントを合わせる。
「聞いてるのかよ!人のはな………」
「ロック。ここは中々良い場所だと思わねえか」
はっ?とか聞き返してくる間抜けの声は流して話を続ける。
視点を間抜けな顔の真ん真ん中に固定したままで。
「ここに居んのはアタシとアンタの二人だけ。
ライトの明かりだけが頼りの沈没船の中。
雰囲気造りはバッチリじゃねえか。いい機会だ。ちょっとこの場に相応しい話ってやつを聞かせてやるよ。
しっかり聞いてんだぜ、ロック。レヴィ様の特別講義の始まり、始まりだ。お代はサービスしといてやるぜ」
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