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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
紅の集い
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しまう。
門番を名乗るだけあり、チャイナドレスから見え隠れする脚は見事に引き締まっており、一目で何か武術を嗜んでいるのかがわかる。
中国的な服装かつ武人が無手でいるという状況から、彼女は中国拳法使いなのではと推測する。
そう考えると、エミヤシロウは何かと中国拳法に縁があるなと微妙な感慨に耽ってしまう。
凜のことと同時に言峰のことも思い出してしまう為、美しい思い出とは言い難いのがもの悲しい。

「だったらせめて、主とは誰なのかを教えてくれ。知人ならよし、そうでないにしても一方的に知られているというのは愉快ではないからな」

女性は少し迷う素振りを見せた後、口を開く。

「………そうですね、教えないというのは流石に酷い話ですし、包み隠さず教えます。―――主の名はレミリア・スカーレット。齢五百の吸血鬼です」

「吸血、鬼」

その言葉を聞いた途端、自分でも分かるぐらい表情が歪む。

「やっぱりそんな反応を示しますよね。………身内贔屓にしか聞こえないかもしれませんが、こうして使者を派遣する形を取る場合、彼女は間違いなく相手を客人として迎える気で臨んでいます。余程の粗相を働かない限りは、決して危害は加えない筈です」

「余程の程度は君達の匙加減次第だろう。こちらとしては、どこまで信用して良いものか測りかねる。はっきり言って、断られても文句が言えない程不安材料がある」

「―――そう、ですね」

「だが、まぁ。ここで断ったところで恐らくは二度三度と同じことが繰り返されるだけ、最悪そのレミリアとやらの怒りを買う羽目になるかもしれない。そんな不利益は被りたくないからな、渋々ではあるが大人しくついていくことにしよう」

幻想郷という箱庭に住む以上、そのレミリアという吸血鬼とやらとも今生の付き合いで終わるとは思えない。
悪い感情を持たれるような行動を取っても、ただ私の行動範囲を狭めるだけで何の得もない。
ここで生きていくならば、どんな相手であれ機嫌取りをしていて損はない。
それが、力を持つ妖怪相手ならば尚更である。

「―――あ、ありがとうございます!」

仰々しい程の礼をする女性。
まぁ、彼女も仕事でこの場にいる以上、断られれば立場上よろしくないだろうからな。これぐらいは当然の反応なのかもしれない。

「それでは、案内させていただきますね」

「ああ、頼む」

そうして女性が歩き出した先では、木々で大半が隠れていながらもしっかりと輪郭を残している紅の館が、遠巻きで強い存在感を示していた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「ようこそいらっしゃいました、紅魔館へ」

眼前に拡がる紅の塊を護るように立ちつくしていたのは、メイド服を着た女性だった。
メイドは堂に入った一礼と共に、歓迎の言葉を
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