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おっちょこちょいのかよちゃん
266 戻って来たのは
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『だが、本物がどうか不信感が強い。今関根の刀で確認中だ!』
「解った!くれぐれも用心してくれ!」
「え?杉山君が戻って来たの?」
 まき子が驚いた。
「ああ、だが本物かどうかは皆も解っていないようだ」
(レーニンは杉山さとし君を切り離したのか・・・?)

 紂王の屋敷。りえは喘息で咳き込んでしまった事で遊女から貰った薬を服用して眠っていた。気がついたら寝付いていた。
(・・・)
 りえも昼になるまで寝ていたとは思わなかった。起きるとその部屋には誰もいなかった。
(藤木君はまだ帰ってきてないのね・・・)
 りえは寝台から出た。気が付けば喉が渇いていた。りえは呼出のボタンを押した。
『はい、如何なされましたか?』
「喉が渇いたわ。お水を頂戴」
『畏まりました』
 そして少しして遊女が水を持って来た。藤木と妲己も現れた。
「りえちゃん、起きたんだね」
「うん、ごめんね、迷惑かけて」
「いいんだ、気にしなくていいよ。りえちゃんの身体が大事だし」
「うん、ありがとう」
「そうだ、お嬢、藤木茂坊からいい提案があるのだが」
「提案・・・?」
「婿殿の特技を覚えているかね」
「え、ええと・・・?」
「スケートだよ」
「あ、そうだったわね」
「婿殿がそなたにその『すけーと』とやらをする姿が見たいというのだ。明日、雪の降る山に氷の泉がある。皆で行こうではないか」
「ええ、是非見て見たいわ」
「りえちゃん・・・、ありがとう」
「それではそろそろ昼食の時間となる。食事係が『かれー』という天竺の料理を作ってくれているぞ」
「はい、行こうよ」
「ええ」
 りえは水を飲んだ後、藤木と手を繋いで部屋を出た。本当のカップルか夫婦のように。

 杉山が本物か偽物か、関根の国定忠治の刀が確認する。かよ子はできれば偽物でないと祈った。
「光らない・・・」
 かよ子の僅かな祈りは叶わなかった。
「じゃあ、お前は偽物だな!これは渡せねえ!」
 大野は雷の石をポケットにしまった。
「おいおい、その刀がおかしいんはねえのか?」
「杉山君・・・、悪いけど・・・」
 かよ子は偽物とはいえ、杉山を攻撃するなどできなかった。だが、好きな男子だからという事で攻撃を躊躇うなどここではやってはいけないと思い、杖で丸鋸を出して杉山を両断しようとした。
「おいおい、俺を殺しちゃまずいぜ!」
「・・・え?」
 かよ子は慌てて丸鋸を杖の先に戻した。
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