266 戻って来たのは
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「杉山君、どうしてここに!?」
かよ子は疑った。何しろ寝返った杉山がのこのこと、この場に現れるとは・・・。
「杉山・・・!!」
大野は杉山を睨んだ。
「お前、山田の杖を取りに来たんだろ?」
「ちげえよ、もうあいつらに用はねえ。お前らに協力してやるよ」
(本当に?)
かよ子は前に杉山と会った時を思い出す。杉山は戦争主義の世界の長に身体を貸し与え、一心同体となったのではないか?
「本当にそうなの?レーニンに変化しないだけじゃないの?」
(怪しい。杉山君、本当に赤軍や向こうの世界の人を簡単に捨てられる筈がない・・・!!)
「おい、大野」
「何だよ?」
(喧嘩した身とはいえ)親友である大野でも警戒心は崩していない。
「お前、俺の石持ってんだろ?」
「これか?」
大野は雷の石を出した。
「ああ、これで組織『次郎長』復活だな」
だが、まる子もブー太郎も組織再結成の嬉しさは皆無だった。
「杉山君・・・」
かよ子は尋ねた。
「一つ聞いていいかな?」
「おう」
「りえちゃんや藤木君は今どうしてるの?」
「え?な、何であいつの事なんか」
「杉山君なら解ってる筈だよ!二人のいる場所!あの人達と手を切ったならすぐに教えられる筈!」
「そ、それはなあ・・・」
「杉山さとし、お主は杯の所有者・安藤りえを拉致した所を見ているのだ。恍けているとなればお主は本物の杉山さとしではないな?」
次郎長が推察した。石松や綱五郎達も刀や拳銃の準備を既にしている。
「俺の刀で試させて貰うよ」
関根は国定忠治の刀を杉山に向けた。
「お、おいおい、待てよお。俺を殺そうとしねえでくれよなあ」
「いいや、刺したり斬ったりしないよ。本物の杉山さとし君ならこの刀が光るようにさせるよ。光らなかったら偽物だ」
関根は刀の刀身を確認した。
本部の管制室。イマヌエルと先代の護符、杯、そして杖の所有者達により戦争主義の世界、平和主義の世界の境界線での取引に緊迫感を覚えていた。イマヌエルはフローレンおよび本部守備班が無事である事を常に祈っているが、まき子は娘の方をふと気にした。赤軍とも戦争主義の世界の人間とも異なる灰色の点がかよ子達の所に来ているのだった。
「イマヌエル、かよ子達の所に何か来ているわ。これは何なの?」
「え・・・?」
イマヌエルはその灰色の点を確認する。
「私にもよくわからない。もしかして別の勢力か?確認してみよう!」
イマヌエルは藤木救出班への連絡を試みた。
「こちらイマヌエル。藤木救出班の皆、今誰かと戦ってるのかい?」
『こちら椎名歌巌!今敵に寝返った筈の杉山さとし君がいる!敵とは手を切ったという事で!』
「え?杉山さとし君がだと・・・!?」
イマヌエルは状況が掴み切れなかった
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ