第六十七話 阪神の勝利を聞いてその二
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「無様な巨人、情けない巨人」
「巨人には相応しいわね」
「恰好悪く負ける姿はね」
「恰好悪いのが一番似合うのはね」
「やっぱり巨人よね」
「本当にね、しかし昔は強かったのよね」
かつてはというのだ。
「あれでも」
「そうそう」
「九連覇とかしてね」
「戦前も強くて」
「二リーグ制になってすぐもね」
「もうセリーグでの優勝は」
とてつもなく忌々しいことにだ。
「殆どね」
「巨人だったのよね」
「昭和四十八年まで」
「他は阪神二回、中日一回で」
「あと大洋も一回優勝してるけれど」
「大抵巨人だったのよね」
「昔は」
「いや、暗黒時代ね」
富美子は心から思って言った。
「そうよね」
「本当にね」
「その頃日本高度成長期でね」
「物凄く元気だったけれど」
「巨人が弱かったらね」
「さらによかったことは間違いないわね」
「巨人軍大鵬卵焼きってね」
ここでこの言葉も出した、後の二つは兎も角として最初のそれがどれだけおぞましいものであるかは言うまでもない。
「昔の子供の好きなものだったわね」
「昭和三十年代よね」
「所謂団塊世代の人達ね」
「もう当時の子供は皆巨人が好きで」
「そう言ってたのよね」
「漫画だってね」
野球漫画もだ。
「主人公のチームは絶対巨人」
「その頃はね」
「当時はね」
「雑誌に出るチームもそうで」
「まさに巨人一色だったのよね」
「あれね、北朝鮮のプロパガンダで」
それと同じだというのだ。
「当時って」
「それで子供達洗脳してたのね」
「その頃は」
「漫画雑誌でもで」
「あとテレビが普及してもね」
「テレビの野球の試合も」
実に恐ろしいことにだ。
「巨人の試合ばかりだったのよね」
「本当に北朝鮮みたいね」
「巨人の試合ばかりって」
「正直怖いわね」
「そんな風だとね」
「いや、そうじゃなくなってね」
富美子はしみじみと思って述べた。
「今はいい時代ね」
「全くよね」
「巨人戦ばかり放送してね」
「それで洗脳していくとか」
「まんまカルト教団じゃない」
「それもなくなって今の巨人の人気なんて」
それはというと。
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