暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜漆黒の剣聖〜
アインクラッド編〜頂に立つ存在〜
第三十五話 物語の終わりと
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れじゃないよ。今度は現実で、だよ、キリト君・・・」

キリトの言葉にアスナは首を横に振りささやくように、確たる声で言うとキリトを含む三人に微笑みながら言った。

「ね、最後に教えて。みんなの本当の名前」

最初は戸惑った顔をするキリトだったが、一番初めに名乗っていた。

「桐ケ谷・・・桐ケ谷和人。多分先月で十六歳」

「私は(ひいらぎ)月雫(しずく)だよ。今年で十七歳かな」

「月影桜火。今年で十六だ」

「「「・・・え゛っ!?ソレイユ(ソレイユ君)って年下(同い年)だったの(か)!!?」」」

アスナとルナは驚き、キリトにいたっては軽く落ち込んでいるように思える。

「・・・んなことどうでもいいだろ。次はアスナだぞ」

「う、うん、そうだね・・・・・・わたしはね、結城・・・明日奈。十七歳です」

全員が名乗り終えると穏やかな光に包まれ消えていく。四人の表情は憑き物が落ちたように晴れやかな表情だった。

―――また、今度な―――

誰かがそうつぶやくとともに四人は光となって消えて行った。



次の瞬間に感じたのは薬品の臭いだった。重たい瞼を開け、周りの様子を確認してみると白い清潔な壁が目に飛び込んできた。

「(・・・帰ってきたのか・・・)」

感慨深くそう心の中で思いながら、体を起こそうとするが思うように動かない。それを理解しているのか、皮肉気に唇の端をつり上げると声を出すのもつらい状況の中、力を振り絞ってたった一言呟いた。

「た・・・だ・・・い・・・ま・・・」

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