アインクラッド編〜頂に立つ存在〜
第三十二話 骸骨の刈リ手と魔王の正体
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だ。激闘を果たした末、勝利を得たのは攻略組だが、それを喜べるものは誰もいなかった。一撃で死ぬかもしれない恐怖が合わさった状況で一時間にも及ぶ死闘を行ったため、疲弊して地面にへたり込むものがほとんどだった。
「何人―――やられた・・・?」
「十四人、死んだ」
「・・・うそだろ・・・」
聞いたのはクライン、答えたのはキリト、呆然と呟いたのはエギルだった。トップレベルのプレイヤーがこれだけの数を犠牲にしてやっと倒すことのできた七十五層。では、その先の層ではどれだけの犠牲が出るのか考えもつかない。
「これは、ソレイユにも協力してもらわないとだめかな・・・」
ルナは人知れずそう呟いた。剣の頂に立つと称される彼がいるならば、少なくともこれほどの被害はでないはずだ、ならば手を借りるしかない、と考えたところでルナは表情を曇らせる。
「いやだな、私・・・あの人の性格は私がよく知ってるのに・・・」
恋人となり、付き合っていくうちにでソレイユというプレイヤーの大体の性格は理解できた。自由気ままで束縛を嫌い、自分に反することは決してしない。その彼を利用しようと考えた自分を嫌悪するルナ。血盟騎士団参謀長という立場とソレイユの恋人という立場がルナを苦しめる。どうすれば良いのかわからず悩んでいると、キリトが突然ヒースクリフに向かって片手剣の基本突進技≪レイジスパイク≫を放ていた。唐突な展開に眼を見開いて驚くルナだったが、次に起こったことに更なる驚愕に襲われた。
「・・・不死、存在・・・っ!」
「キリト君、何を―――」
ルナが呟くのと同時にアスナがキリトの奇行に驚いて駆け寄り、ヒースクリフに表示されている文字を見て愕然をし足を止める。キリトもヒースクリフから距離をとり、アスナの隣に並ぶ。
「システム的不死って・・・どういうことですか・・・団長・・・?」
アスナの問いにヒースクリフは答えず、厳しい表情でキリトを見ていた。そこに響いたのはルナの震えた声だった。
「ヒースクリフ団長・・・まさか、あなたは・・・」
最悪の未来予想図を立てたルナの言葉にヒースクリフはかすかに唇をつり上げると相変わらずの口調でルナを褒め称えた。
「さすがは我が血盟騎士団の参謀長だ。君をその地位にしたのは間違いではなかったらしい」
そう言った後、ヒースクリフはボス戦に参加し生き残った攻略組のメンバーに向きなおり、自分の実名を名乗った。
「私の名は茅場晶彦だ。付け加えれば、最上層で君たちを待つはずだったこの城の最終ボスである」
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