嘆きは、空に消えていく
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は無いものの、返事を返した。「……そうか。でも驚いたな。返事を返してくれるなんて」
おどけるように、少し笑いながら思ったことを言ってみた。
「夢を見ました……」
しかしそれには乗らず、彼女は独白を始めた。
「小さな子供が、幸せそうに遊んでいる夢を」
「その子の側には、優しい人達と、愛すべき父親と、初恋の人がいました」
「その子は、この幸せはいつまでも続くと信じていました」
……待て、その話は、
「お、オルコット……」
「ある日、少年の初恋の人が、父親の何らかの実験の薬を服用してしまい見るもおぞましい姿に身をやつしていました」
切嗣には、その話に聞き覚えがあった。いや、むしろその話を誰よりも良く知っている。
「少年は、殺すように乞う少女に背を向け助けを呼びに行き、結果として島ひとつを壊滅させてしまいました」
「その後、彼はこのような実験をしていた父を殺し、自分を助けてくれた女性と一緒に行く。そんな夢を見ました」
「……」
切嗣は何も喋らない。いや、喋らない。
恐らく、魔術治療を行った際に、体に残った切嗣の魔力が切嗣の過去を夢として見せたのだろう。
「ここで、夢は終わってしまいました。……衛宮さん、一つ聞かせて下さい。」
そこでセシリアは、初めて切嗣と真正面から向き合った。
「あの少年が貴方だとは思えません。ですが、
貴方は何で、そんな悲しそうな瞳をしているのですか?」
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