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最期の祈り(Fate/Zero)
嘆きは、空に消えていく
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出した。
そして最後に
「衛宮、後で話がある。職員室に来い」
それだけ言うと、彼女はその場を後にした。
――――――――――――――――――――――――
「で、お前はオルコットを撃った理由を喋るつもりはないと?」
「……」
「無言は、了解の意と考えるぞ」
「……」
職員室にて、千冬は切嗣に尋問を行なっていた。千冬としては、何とか切嗣を助けたい、その一身故の行動だった。これより彼を襲うのは一夏の刀では無い。イギリス政府からの追撃だ。セシリア・オルコットという、イギリスきっての有望株を殺されかけたのだ。そう安々と黙っている訳にはいかない。
そうならない為にも、千冬は切嗣の行為の正当性を探していた。だが、当の本人がこれでは動くに動けない。
一つ大きなため息をつくと、彼女は感情と正反対の言葉を紡いだ。
「なら後日、お前はイギリス政府に召喚されるだろう。拒否権はない。いいな?」
「……構いません」
一言、何の感情も交えず声を出す。

千冬自身は何か重大な事情が有るのではと疑っていた。千冬が切嗣と関わった時間は一夏より短い。だが、それでも一夏と同じように、切嗣の優しさには気付いていた。
彼が優しくない、その前提に立つと、どうしても不可解なあった。切嗣がセシリアを撃ったとき、切嗣の表情は無かった。喜ぶでもなく、悲しむでもなく、あくまで無表情。つまり、そこに彼の感情は無く、ただ義務に従っただけだった。言い換えると、彼にはセシリアを撃つ何らかの理由が有ったに違いない。故に、千冬は切嗣を信じる。衛宮切嗣は信用に値する、優しい人物であると。
だが、これはあくまで個人の感想。イギリス政府を黙らせるには、力不足依然の話だ。彼女に出来ることは何もない。だから
「最後に、やるべきことはあるか?」
切嗣の願いを叶えてやる、それだけが千冬に出来る手向けだ。
――――――――――――――――――――――――
コンコン
ドアを叩く音に、セシリア・オルコットは目を覚ました。
セシリアが気を失ってから7時間。知るよしも無いが、切嗣がかけた治癒魔法により体の傷は殆ど癒えていた。
「ここは?」
最後に見たのは、アリーナだったので、自分が何処にいるか解らなくなった。
「救護室だ」
答えは扉をノックした人物から返ってきた。
「衛宮さん……」
そこに居たのはよれっとした人物、衛宮切嗣だった。
切嗣が千冬に頼んだのは、セシリアとの面会だった。

(僕らしくも無い……かな)
自嘲気味に心の中で自分を嘲笑うと、目の前の人物に意識を集中させる。
「具合は……どうだい?」
彼女から返事が返って来ることは期待せず、一番訊きたかった事を尋ねた。
「……あの泥を被った時よりは、幾分かは良くなりました」
切嗣の予想外に反して、セシリアは目を会わせること
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