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最期の祈り(Fate/Zero)
嘆きは、空に消えていく
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い。
「……オルコットを救う為だった、と言えば信じたか?」
「だから、その理由を……」
「それは言えない。言えるわけがない」
宜もなく切り捨てられる一夏。
「……お前は」
不意に、一夏の声音が変わった。それは聞いたものが恐怖を感じる程の怒り。
「お前は、親友にも話せないような理由で仲間を殺そうとしたのか!?答えろ、衛宮切嗣!!」
もうそこには、嘗て笑いあった2人いなかった。
片や刀を構え、目を怒りに燃やす一夏。
片や、相変わらずの瞳に、表情を表さない切嗣。
こうなる事を選択したのは切嗣だ。例え、大切な友人を失おうとも多数を救う。其が、衛宮切嗣が歩んできた道の1部だ。
……結局、彼は進めて無いのか?恐らく、『仲間を信じる』というのが最良の一手だったであろう。後で事情を話すなど幾らでもやりようはあった。そうすれば、天秤に載っかった2つを溢すこと無く掴む事が出来ただろう。だが、しなかった。そこには、様々な理由があったのだろう。情報がリークする可能性、一夏が危険に合う可能性。だが、本当に彼が仲間を『信じ』無かったのはそんな理由では無い。単純に、怖かっただけだ。2つを取ろうとする、その恐ろしさ。幼き頃、初恋の女に殺すよう乞われたことがった。幼き切嗣は、彼女の生と島での生活、その2つを取ろうとし、失敗した。
故に、彼は天秤の計り手としての運命から逃れられない。

だから、そこに溝が産まれたのは必然だった。


ブレイドを両手持ちに変え、切嗣に突撃する一夏。切嗣は構えない。まるで、お前は話にならないというように。
其が、一夏の怒りに油を注いだ。何の躊躇いもなく、峰打ちとは言えIS専用の武器を振りかざす。
……遅い。
それが、一夏が切嗣に抱いた感想だ。セシリアとの戦闘により、相手の行動に敏感になっている一夏には切嗣の動きは遅すぎた。彼我のさは30cm、刀は振り上げられている。もう彼には避ける手段は無い。この時点で、一夏は自分の勝利を疑わなかった。
しかし、待って欲しい。切嗣に対し、大振りの攻撃が通用するのか。
「なっ!?」
切嗣は徐に手を上げた。それだけで彼の手はつっかえ棒になり、攻撃の勢いを肩の根から殺した。
何も難しい事はない。直線的な攻撃しか無いと分かっているなら、この程度造作もない。
そのまま一夏の背後に回り込み手刀を叩き込み、彼を気絶させる。
「衛宮……切嗣……」
気絶する間際、一夏は初めて怨みをこめ、親しき仲だった彼の名を呼んだ。

地に倒れ伏す一夏。時間にして僅か2分にも及ばないやり取りだった。だがそれは、もう戻らない2分間、2人の中を分けた2分間である。

結局、その場は千冬の手によって一旦収まった。駆けつけた彼女は、セシリアと一夏を救護室に運ぶよう指示をだすと、その場にいた全員を観客席から追い
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