第一章
[2]次話
ニワトコの申し出
北海道の日高に伝わる話である。
大地のカムイはこの地に来てだ、すぐに供の者達に言った。
「ではこれよりな」
「はい、それぞれのですね」
「生きものの役を定めますね」
「そうしますね」
「これより」
「そうしてだ」
そのうえでと言うのだ。
「大地の摂理を定めよう」
「わかりました、ではです」
「その様にしましょう」
「これより」
「そうしましょう」
供の者達も頷いた、そしてだった。
そうした話をしつつだ、彼等はだった。
カムイが定めていくことに従った、多くの命あるものが役目を与えられ人間もその中にあった。カムイは人間にはこう告げた。
「そなた達はこの世に増えてだ」
「そうしてですか」
「自然を愛しだ」
そうしてというのだった。
「様々な技術を生み出し進歩させることだ」
「それがですか」
「そなた達の役目だ」
こう言うのだった。
「あらゆるものも知りな」
「我々はやることが多いですね」
「そうだ、そなた達の姿もな」
カムイは人間のそれの話もした。
「何故我等カムイに似せたか」
「それもですか」
「カムイではないが」
それでもというのだ。
「カムイに次いで様々なことを為すな」
「そうした存在ですか」
「そうなることを考えてだ」
それでというのだ。
「生み出した、だからな」
「それで、ですか」
「そなた達の役目はな」
「そうしたものですか」
「そうだ」
まさにというのだ。
「そうした、だからな」
「それで、ですか」
「自然を愛しな」
そしてというのだ。
「様々な技術を生み出し」
「その技術を発展させ」
「そして増えてな」
「この世に満ちる」
「そうするのだ」
こうも言うのだった。
「よいな」
「わかりました」
人間は頷いた、そうしてだった。
己の役目を果たすことにした、すると。
ここでだ、ニワトコはカムイに申し出た。
「私の役目ですが」
「それはまだ決めていないが」
「いえ、私の役目はです」
それはというのだ。
「もう私の中で、です」
「まさかと思うが」
「定まっていますので」
だからだというのだ。
「もう申し出たいのですが」
「そうなのか」
「宜しいでしょうか」
「言ってみるのだ」
これがカムイの返事だった。
「ではな」
「はい、人間はこの世に増えてですね」
「そうだ、そしてな」
カムイはニワトコにも話した。
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