第一章
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スモーランド
スウェーデンに伝わる古いお話です。この国には家事や畑仕事をしてくれるスモーランドという妖精がいます。
とても奇麗な姿で高貴な気を身体から放っています、そして声もとても奇麗です。
そのスモーランドがある日とあるお家の壁に使われていた松の木の板の節の部分が抜けていることを見付けました、それまでそのお家で家事を手伝っていましたが。
スモーランドはその節の穴を見てお家のお婆さんに言いました。その声の感じはとても優しくて松の木の囁きの様です。
「お婆さん、宜しいでしょうか」
「どうしたんだい?」
お婆さんは妖精に穏やかな声で尋ねました。
「一体」
「はい、少しお外に出て」
そうしてというのです。
「松の木を取って来たいのです」
「松の木をかい」
「その板を」
「何かあるのかい?」
「ここに穴がありまして」
「ああ、それならね」
穴があると聞いてです、お婆さんは頷きました。
「宜しく頼むよ」
「はい、ですが」
ここで、でした。スモーランドは。
少し申し訳なくなってです、お婆さんに言いました。見れば銀色の長い髪の毛に銀色の目、そして整ったお顔立ちで白い雪の様な肌で雪の様にさらさらとした感じで輝く服を着ています。
「今お家におられるのはお婆さんだけですね」
「それはね」
お婆さんもそれはと答えます。
「息子夫婦は孫達と一緒に街に薪を売りに行っていてね」
「全部ですね」
「お爺さんは木を伐りに行っててね」
「お婆さんお一人ですね」
「そうだね」
「それで家事をされるには」
「ああ、いいよ」
優しい笑顔で、です。お婆さんはスモーランドに答えました。
「あんたがいない間は私がね」
「家事をですか」
「全部やっておくよ」
「いいですか」
「いいよ、あんたは助けに来てくれてるんだ」
お婆さんと家族の人達をというのです。
「そのあんたにあれをしろこれをしろなんてね」
「言われないですか」
「そうだよ、だからね」
それでというのです。
「あんたがそうしたいならね」
「お家を離れてもいいですか」
「そうしていいよ、その間私が家事をやっておくからね」
「そうですか、すぐに戻りますのね」
「松の板を取って来るのもうちの為だしね」
それでというのです。
「駄目とか行くなとか絶対に言わないよ」
「そうですか、では」
「行っておいて」
「お言葉に甘えまして」
スモーランドはお婆さんに深々と頭を下げてです。
そうして森の方に行ってでした、すぐにでした。
穴が空いている部分を直すどころか予備になるだけの多くの松の木の板を持って来ました。そしてです。
きらきらと光るものも持って来ました、それはコップでしたが。
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