第四章
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「変なんだ」
「何?妖精か魔女でもいたの?」
静香はあの時の話から冗談で返した。
「ひょっとして」
「いや、どっちもいなかったけれど」
「じゃあ何がいたのよ。スマホには私達しか映ってなかったでしょ」
「そっちの画像ではね、けどね」
それがとだ、静香に言うのだった。
「それがなんだ」
「写真ではなの」
「うん、詳しい話はね」
静香にあらためて話した。
「見てみたらわかるよ」
「写真自体を」
「そうしたらね、じゃあ今から見る?」
「うん、百聞は一見に如かずだし」
静香もそれならと応えた。
「見せて」
「こうなってるんだ」
こう言ってだった。
その写真を見せるとだった、そこには。
二人が笑顔でいる長城の後ろに何と巨大な人影があった、それは全長何十メートルもある巨大なものだった、
その人影を見てだ、静香はまずはこう言った。
「ドイツのブロッケン山の」
「それだよね」
「ええ、ただあの山はね」
静香はトーマスに落ち着いた声で答えた。
「ああしたのが出る山じゃないでしょ」
「ブロッケン山のあれは自然現象だしね」
「自分の姿が映って」
「それが大きく見えているだけだよ」
「そうよね、けれどこの人型は」
「写真の僕達の身体の動きじゃないよ」
「大きく両手を広げてるから」
観れば写真の二人はそんな動きをしていない。
「それを観てもね」
「ブロッケン山のあれでもないわね」
「それでスマホには映ってないし」
「そうなると」
「妖怪だね」
「ええ、どんな妖怪かわからないけれど」
「心霊写真かな」
トーマスは首を傾げさせながらそちらの可能性についても言及した。
「これは」
「どちらにしてもね」
「うん、これはね」
まさにと言うのだった。
「僕あの山で色々言ったけれど」
「日本の山はイギリスの山程怖くはないって」
「環境や野生動物のことだけじゃなくて」
「妖精とか幽霊とか」
「魔女や山賊の話もしたし」
「それでよね」
「イギリスの山の方が怖いと言ったけれど」
それでもと言うのだった。
「日本の山もね」
「怖いっていうのね」
「そう思ったよ。実際にこの目で観たら」
写真に映るそれをというのだ。
「本当にね」
「怖いと思ったのね」
「うん、あの山での言葉は撤回するよ」
正直な色の声で述べた。
「そうするよ、日本の山もね」
「怖いって言うのね」
「本当にね」
静香に真面目な声のまま話した、そして後日その写真をそうしたことに詳しい人に観てもらうとかなり力の強い何かが映ったものだと話した。二人はその何かを山の神かと考えた、それで今度は畏怖するものを感じたのだった。そのうえで二人で日本の山もまた怖いと思った。
アナザーフィル
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