第四章
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「普通のものではない」
「特別のものか」
「そうだ、だからまずはな」
「半分はわしが食うことか」
「そうだ、普通のドリアンより臭いがきつくな」
「確かにな、これは凄い」
その臭いについてだ、バガニは答えた。
「恐ろしい臭いだ」
「波のドリアンも凄いがな」
「このドリアンは違うか」
「しかしそれだけに美味くだ」
そうしてというのだ。
「言った通り半分食うとな」
「わしが若返ってか」
「奥方はそなたに惚れる、だから食うといい」
「それではな、女房もドリアンは嫌いでないしな」
「それなら尚更いい、是非な」
「食うな」
「そうさせてもらう」
こう言ってだった。
バガニはすぐにだった。
そのドリアンを持って帰って妻に半分差し出した、妻はまずはドリアンのその尋常でない臭いに驚いたがバガニの言う通り嫌いではないので。
バガニが差し出した半分を貰いバガニはその半分を食べた、するとだった。
バガニは二十歳の頃の若々しい姿になり妻はその彼に心から惚れ込んだ、こうして二人は幸せな夫婦生活に入った。
そうしてだ、彼は仙人のところに入って話した。
「まことに有り難い、もう日々だ」
「楽しいか」
「そうなっている、全てはそなたのお陰だ」
「古い友人同士だからな」
それでとだ、仙人はバガニに答えた。
「そうしたまで、しかしお主ここで若返ったからな」
それでとだ、ここで彼は話した。
「だからだ」
「その為か」
「そうだ、部族はどうする」
「うむ、もう養子に譲ることにしておったからな」
「渦るのか」
「ここでな、あの者なら心配無用だ」
その養子に対して全幅の信頼も見せた。
「だからな」
「それでか」
「部族も任せる、わしは妻と共に親しい者達だけを連れてな」
そうしてというのだ。
「新しい地を拓きたい」
「そうするのか」
「折角若返ったしな、しかも長い間あの部族を治めていた」
「それならか」
「そうだ、そうするのがいいだろう」
部族を養子に任せて自分は新天地を拓くというのだ。
「そうする」
「そうか、ではな」
ここまで聞いてだ、仙人はバガニに笑って話した。
「わしも若返るか」
「あのドリアを作ってか」
「そしてお主と共に生きるか」
「そうするのか」
「そしてだ」
バガニにさらに話した。
「わしも妻を持つか」
「そうするのか」
「お主を見て欲しいと思った、ではな」
「これよりか」
「今度はわし自身が集めよう」
「わしに言ったら集めさせるぞ」
「わしのことだからわしでする」
それはというのだ。
「その様にするからな」
「若返ってからか」
「共に新しい場所を拓こうぞ」
「それではな」
こう話してそうしてだった。
仙人
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