第二章
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「もうお爺さんでしょ」
「百七十三歳だ」
「私よりも百六十近く年上なのよ」
「あれだけ生きている人もいないな」
「その人と結婚なんて」
「歳の差があり過ぎるか」
「幾ら何でも無理よ」
「そう言うが酋長のお願いだ」
父は娘に言った。
「だからな」
「あの人の家にいろっていうのね」
「それに素晴らしい人だろう」
「ええ、いつも部族の為に心を砕いてくれているね」
「だったらな」
「我慢してなのね」
「お前にも優しいだろう」
このことを聞くのだった。
「あの方は」
「誰にも、どんな生きものでもでね」
「特にお前にだな」
「その通りよ」
「だったらな」
「我慢してなの」
「一緒にいてくれ」
「わかったわ」
苦い顔でだ、マダヤオ=バイホンは頷いた。そうしてバガニと一緒にいた。だがバガニも愚かではなく。
彼女が自分を愛していないことは察していた、それでだった。
ある山の麓の洞窟に住む旧知の仙人マディガンに相談することにした、彼もまたバガニに負けない位の老人であった。
お互い若い頃からの付き合いだ、その彼に相談するとだった。
マディガンはまずは彼が結婚したことに驚いた。
「お前さんがか」
「自分でもないと思ったがな」
「おなごに惚れてか」
「好きになってな」
バガニはマディガン、落ち着いた外見の彼に話した。
「そして結婚したが」
「若い娘さんでか」
「わしを嫌がっておる」
「さもあらん、百六十歳近く離れておろう」
「女房は十七歳だ」
その年齢を話した。
「だからな」
「有り得ぬ歳の差だな」
「そのせいでな、嫌がっておるのはわかる」
「それも当然だ、それでわしにだな」
「どうしたら妻がわしを愛してくれる様になってくれるか」
「そのことをか」
「お前さんにどうにかしてもらいたいのだが」
こう言うのだった。
「出来るか」
「出来るがまずはだ」
マディガンはまずは出来ると言って答えた。
「三つのものを用意してくれるか」
「三つか」
「まずは黒い色のタボンの卵だ」
「あの鳥のか」
「そして白い水牛の乳だ」
二つ目はそれだった。
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