第二章
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「もうです」
「そうか、だがナチスと関係あるならな」
「ええ、記事にしましょう」
「連中の協力者は許せるか」
占領されていた者としてだ、市長も言った。そうしてだった。
すぐに記事が掲載された、するとだった。
フランス国内軍のアンリ=ヴァレリー大尉という人物から強烈な反論の投稿があった、編集長はその投稿を見て記者に話した。
「君の記事への反論だが」
「何か自分自身へのことみたいですね」
「そうだな、そう見えるな」
「はい」
こう編集長に答えた。
「これは」
「となるとな」
「この大尉の筆跡をです」
これをというのだ。
「調べてもらいましょう」
「警察にだな」
「そうです、文章では嘘を容易に書けますが」
それでもというのだ。
「筆跡は簡単にはです」
「嘘を吐けないな」
「かなり慎重にしないと癖が出ます」
「そうだな、ではな」
「警察に見てもらいましょう」
「マルセル=ブショーの筆跡と共にだな」
「そうしてもらいましょう、若しかしたら」
記者はその目を鋭くさせて語った。
「これで、です」
「マルセル=ブショーが捕まるな」
「そうなるかと」
こう言ってだった。
記者はその投稿を警察に見てもらった、するとだった。
ブショーの出身地であるヴィルヌーブ=シュル=ヨンヌから刑事と警官達が強張った顔で新聞社まで来て記者に言った。
「我々はブショーの故郷の警察の者だが」
「筆跡をですか」
「彼のそれとアンリ=ヴァレリー大尉なる人物のそれを検証させてもらったが」
「どうだったでしょうか」
「間違いない」
刑事は記者に強い声で答えた。
「同一人物の者だ」
「そうですか」
「では即座にだ」
「ヴァレリー大尉をですね」
「ブショーとしてな」
「逮捕されますか」
「そうする」
こう言ってだった。
警察は動きそのうえでだった、ヴァレリー大尉は即座にブショーとして取り調べを受けた。そうするとだった。
まさにブショー本人であった、彼は名前と身分を偽ってフランス国内軍に潜り込み捜査の目を逃れていたのだ。
このことについてだ、編集長は記者に言った。
「こんなご時世だからな」
「ええ、戦争のお陰でゴタゴタしています」
記者も答えた。
「もう何が何かです」
「わからない状況だな」
「全くですよ」
肩を竦めさせて話した。
「ましてや軍隊に入られますと」
「警察の手は入りにくいしな」
「しかも世の中と離れてますからね」
そうした場所でというのだ。
「そこに潜り込まれるとです」
「容易にはわからないな」
「そうです、考えたものですよ」
「狡賢い男だ」
「全くです、やったこともです」
記者は調べたそれを以て編集長に話した。
「狡賢いもので
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