第二章
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「いっそのことね」
「あんたからなの」
「言おうとも思ってるのよ」
「じゃあ行ったら?今度彼が言わなかったらね」
友人は私にビールを飲みつつ言ってきた。
「その時はね」
「言うのね」
「そうしたら?あんたからね」
「女の方からプロポーズね」
「別にそうしてもいいでしょ」
こう私に言ってきた。
「そうしたら?」
「そうね、その時してみるわ」
こう言って私はビールを飲んだ、飲む度に気持ちが落ち着いてきていた。それで私も決めた。
そうしてだ、この日はビールを二日酔いにならない位に飲んでだった。
それからまた彼が誘いをかける時を待った、すると。
またその時が来た、もう私は彼が今回も言わないと自分から言うことを決意していたのであれこれ思って気持ちが乱れたり昂ったりすることもなかった。
それでだ、彼が今回こそ言うのかどうかと思いつつだった。
夜の港街の灯りが見えるところに案内された、そうして。
彼の言葉は待った、来ないことは覚悟していた。すると。
待ちに待った言葉が出た、それでだった。
私は自然と笑顔になって彼に言った。
「待ってたわ」
「御免、中々言えなくて」
「いいわ、今聞けたから」
彼にその笑顔で答えた。
「もうね」
「そうなんだね」
「ええ、じゃあこれからのことをね」
「色々とだね」
「お話しましょう」
「今からでもね」
もうその場でこれからの話をはじめた、そこで指輪も貰った。
次の日友人にその指輪を左手の薬指に嵌めて見せて彼女に話した。
「昨日ね」
「ポロポーズされたのね」
「そうなったわ、これから忙しいけれど」
それでもtだ。
「何かとね」
「けれどやっとプロポーズされて」
「ほっとして嬉しいしで」
「それでなのね」
「最高の気持ちよ、じゃあこれからはね」
「決まったし」
「落ち着けたわ、それでね」
そのうえでだ。
「これからは結婚とそれからの生活に向けてね」
「大忙しね」
「それはそれで大変だけれど」
「これまでの色々考えて熱くなってよりいいわね」
「物事は決まったら忙しくてもやることは決まってるから」
そして未来もだ。
「今は気が楽よ」
「そうよね」
「落ち着いてやっていけるわ」
これまでと全く違ってだ。
言うなら今の私の心は川だった、結婚という流れに絶え間なくだけれど流れ続けてクールな。これまでも乱れた火の様な心はなくなっていた。忙しいけれど穏やかなものだった。
乱火 完
2022・8・31
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