暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
魔法絶唱しないフォギアGX編
明星颯人の忙しい一日
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ナツを取り出して齧り昼食代わりにしながら話した。

「今日ぐらいは厄介事勘弁だよ。折角久々に奏に会えるってのにさぁ」
「会おうと思えば何時でも会いに行けるだろうが」

 弦十郎の言う通り、颯人であればその気になれば地球の裏側からでも奏に会いに行く事は可能である。魔法を使えば一瞬だ。だが彼は、それだけはしようとしなかった。

「奏には奏の都合があるんだから、俺が勝手に押し掛ける訳にはいかないっしょ?   
 流石にそこまでするほど自分勝手じゃないんでね」

 とは言うが、既に私的な理由でアメリカから勝手にここまで来ておいて何を今更……とは流石に言わないでおいてやった。彼の中にも何らかの線引きがあって、その線引きの範疇での行動なのだろう。そして彼は、他人が何と言おうとその線引きの内側で済む行動なら何を言われても気にしないタイプの人間だ。言っても無駄である。

 弦十郎がやれやれと溜め息を吐いていると、あおいがコーヒーを手にやって来た。

「ともあれ、今回はお疲れさま。多少の怪我人はいたけれど、要救助者は全員救出。流石ね」
「よしてくれよ友里さん。魔法なんてインチキ使っての事なんだから、褒められるほどの事じゃないって。ともあれ、どうも」

 謙遜しつつコーヒーを受け取る颯人に、あおいは苦笑する。素直じゃないと言うか、プライドが高いと言うか。確かに魔法を使えば大抵の事は出来てしまうのかもしれない。だがそれを望んで使っているのは間違いなく彼自身だ。そこは評価されて然るべきだろう。
 尤もそう評価される事自体、彼のプライドが許さないだろうからこれ以上は何も言わないでおいてやるが。

 それから暫くして、ドーナツを食べ終えコーヒーで流し込んだ颯人は近くの椅子に座り背筋を大きく伸ばして背凭れに体重を預けた。

「あ゛ぁ〜〜……頼むからもう今日は何も起こらないでくれ〜」

 颯人にとっては切実な願いである。今日は帰ってくる奏を出迎えると決めているのだ。これ以上問題が起こって奏を出迎える事が出来ないなんて冗談じゃない。

 しかし人生とは儘ならぬもの。悪い時には悪い事が重なるなどと言うのは往々にして起こるのである。
 弦十郎がその事をやんわり颯人に警告してやろうかと考えていた矢先、颯人の目の前にウィズが魔法で姿を現した。

「ここに居たか颯人」
「ッ!?!? ウィ、ウィズ……!?」

 突然姿を現したウィズに、颯人は盛大に嫌な予感を感じた。彼がこんな風に直接出向いてくるなど、ただ事である筈がない。
 その予感は正しかった。ウィズは颯人の姿を見るなり、彼の腕を掴んで引き摺って行った。

「すまんが少し颯人を借りるぞ」
「厄介事か?」
「あぁ。ジェネシスの連中が隠れてサバトをやろうとしていたのでな。急ぎそれを
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