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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
魔法絶唱しないフォギアGX編
明星颯人の忙しい一日
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「事態は一刻を争うわ。という事は……」
「迅速に動ける魔法使いの力が必要よね?」

 全員の視線がドーナツを齧った姿勢で固まった颯人に集中した。颯人は一瞬表情が抜けた顔で動きを止めていたが、次の瞬間にはドーナツを一気に口の中に押し込んで飲み込むと手に付いた砂糖を払い落しながら指輪を着けて準備した。

「場所は?」
「東京湾内。消防や海保が動いてるけど、火災も起こってて救助活動が手間取ってるらしい」
「要救助者は船内の一か所に固まってるみたい。場所はここよ」

 朔也が船の場所を表示し、あおいが要救助者が集まっている場所を表示する。それを見た瞬間、颯人はさっさと魔法を使って転移してしまった。

〈テレポート、プリーズ〉

 消えた颯人に、朔也達が溜め息を一つ吐く。万が一にも彼がごねて嫌がるなどと言う事は考えていなかったが、このタイミングはあんまりだ。ちょっと彼には同情してしまう。

「ま、アイツならちゃちゃっと終わらせてくれるだろ。魔法で要救助者を安全な場所に送り届けるだけだし」
「そうね」
「そうでしょうか……」

 既に終わった気分で楽観的になるオペレーターの2人。実際颯人からすればこの程度の仕事大した事は無いだろう。何しろ人を別の場所に移動させるだけなのだから。懸念があるとすれば人数が多くて何度も往復せざるを得ない可能性がある事だが、その程度であれば大きな問題ではない。
 だと言うのにエルフナインは何やら心配そうな声を上げる。それが気になって了子は資料から顔を上げエルフナインの顔を覗き込んだ。

「どしたの? 何か心配事?」
「あ、いえ、その……颯人さんが失敗するとは思ってないんですけど……何て言うか、これだけで終わるのかなって……」

 了子がふと時計を見れば、時刻はまだ朝も早い時間。颯人であれば昼になる前に終わらせて帰ってくるだろう。
 だがしかし、これだけで何事も無く終わってくれるだろうかと考えると…………

「……祈ってあげましょうか」

 せめて彼の今後に幸あれと願う事しか彼女達に出来る事は無かった。




***




 それから数時間後、見事要救助者を全員救出した颯人は発令所に戻ってきた。
 救助の最中、逃げ遅れた人が船内に居ると聞かされ、沈みつつある船内を彼は大急ぎであっちこっち探し回って見つけ出してから船を脱出したり、事故で心に傷を負った子供を癒す為に手品を見せてやったりと救助だけでなくケアまでしっかりやってから戻った頃には時刻は昼近くになっていた。

「ただいま〜、もう、チクショー!?」
「おぅ、お帰り。随分と荒れてるな?」

 颯人が発令所に入ると、そこでは弦十郎が席に座っていた。颯人は発令所の椅子に置いて来た紙袋から朝の残りのドー
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