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父が描くなと言う部分
第一章

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               父が描くなと言う部分
 イラストレーターの川口菫は小説やゲームのイラストを描き他には油絵等も描いているがその中でだ。
 家族、両親と妹の肖像画も描く。兎角色々な絵を描くが。
 最近父の隋山はよく彼女に言っていた。
「いいか、絶対にな」
「頭はよね」
「そうだ」
 こう言うのだった、見れば。
 顔立ちは整い顔の形はよく背も高くてすらりとしている、しかし髪の毛は。
 前からきてつむじまでなくなっている、その頭を指差して丸めの顔で大きな二重の目と大きなピンクの唇と黒髪をロングにした一五六程の背で均整の取れたスタイルの娘に言うのだった。
「帽子を被せるなりな」
「そこは誤魔化してなの」
「ああ、くれぐれもな。会社でもな」
 サラリーマンとして言うのだった、営業部で副部長をしている。
「これだけはな」
「鬘被ってよね」
「隠してるからな」
「じゃあ肖像画でもね」
「描いてもいいしな」 
 それにと言うのだった。
「美化もしなくていいがな」
「頭だけはなの」
「描くなよ」
「それじゃあね」
「気にし過ぎでしょ」 
 菫の母で隋山の妻である皐が言ってきた、娘が母親似であることがよくわかる外見だが髪の毛は赤くしてセットしている。
「頭位何よ」
「そうよね」
 菫の妹でOLをしている桜も言ってきた、母と姉そっくりだが黒髪をウェーブにさせて奇麗にセットしている。
「髪の毛がないなんてね」
「誰だってよね」
「よくあるじゃない」
「それを気にするとか」
「お父さん小さいわよ」
「小さいものか、切実なんだ」  
 隋山は妻と舌の娘に必死の顔で言った。
「お父さんにとってはな」
「禿げてることはなのね」
「絶対に隠したいのね」
「この数年で急にきたからな」
 それまではふさふさだったというのだ。
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