第二章
[8]前話
彼等が自分と母に頭を下げてこう言ってきてやはりと思った。
「弟になります」
「妹になります」
「はじめてお会いしますね」
「こうした場で申し訳ないです」
七人共父が愛人達に産ませた子供だった、母親はホステスだったり若いOLだったり風俗嬢だったりだ。
彼等は父のことを話した、それぞれ母親と共に面倒を見てもらっていた。父は仕事が出来る資産家だったので彼等の養育費も出していたのだ。
そして死後もそれぞれ遺産を残しているとのことだった、勿論友康達にも。それで別にお金のことで揉めず葬式の時も彼等はそれぞれの母親達と共に静かにしていたが。
葬式が終わり彼等を送ってからだ、友康は母に言った。
「まあ父さんだからね」
「こうしたこともね」
「あるよね」
「ええ、正直こうしたことはね」
母も言った。
「あるってね」
「母さんも思ってたんだ」
「だから驚いてないわ」
こう息子に話した。
「別にね」
「僕もだよ、ただお金はね」
「そのことはしっかりしてくれてたから」
「よかったよ、それじゃあね」
「ええ、あの人達とはもう会わないでしょうし」
「そうだね、それじゃあね」
「このことは終わって」
そしてとだ、母は息子に話した。
「私達は私達でね」
「生きていこうか」
「そうしましょう、それでお父さんの仏壇も」
「用意しよう」
「そうして弔いましょう」
「そうだね、とんでもない女好きだったけれど」
「死ねば仏だし」
そうなるからだと言うのだった。
「ちゃんとすることはしてくれたし」
「何だかんだで僕達の面倒見てくれたし」
「これからはね」
「ちゃんと弔ってあげよう」
「お葬式の後もね」
こう話してだった。
二人で父の仏壇を買い墓に骨を収めた、そして墓参りを欠かさず。
友康が結婚して子供達が出来ると彼のいい部分だけを話した、いい祖父だったと。女性問題のことは子供達が成人してから話してそうした部分もあったと知ってもらった。
お葬式の時に知った弟や妹達の存在 完
2023・2・24
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