第八十七話 純文学は娯楽かその二
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「結局ね」
「自殺したのは同じね」
「だからそれが作品にも出てると思ったけれど」
「それが違うから」
咲ははっきりとした声で答えた。
「本当にね」
「それで明るい作品なの」
「そうよ、すらすら読めるし」
「そうなのね」
「ちなみにハッピーエンドなのどうして知ってるか」
「読んでる最中なのに」
「ネットで検索してね」
そうしてというのだ。
「勉強したのよ」
「それであらすじ知ってるのね」
「いや、調べたら万葉集とかギリシア神話とかが出るのよ」
「その作品にそうしたら」
「三島ってどうも滅茶苦茶教養があったらしくて」
「そんなになの」
「ギリシア神話とか万葉集に」
今話した様にというのだ。
「どうも他の作品なんかも色々とね」
「教養出るの」
「滅茶苦茶記憶力がよくて」
そうしてというのだ。
「頭のキレもね」
「よかったの」
「しかも先進性があって器が大きくて」
「何かチートね」
「漫画も読んだりUFOのことを話したり」
「何でもなのね」
「物凄い知識の幅も広かったらしいわ」
それが三島由紀夫という人物であった、一言で語ることなぞ到底出来ない人物であったことは少し調べればわかることだ。
「凄い人だったみたいよ」
「ただ自殺しただけじゃなかったのね」
「そうね、元は官僚さんだったし」
「ああ、東大法学部出てね」
同級生もこのことは知っていて言った。
「大蔵省に入ったのよね」
「元々官僚のお家でね」
「弟さんや娘婿さんもよね」
「それで本名は違ったしね」
平岡公威といった。
「色々調べたらね」
「頭がよくてなのね」
「もう抜群にいいのよ」
咲は驚嘆を込めて言った。
「信じられない位」
「教養もあって」
「しかも頭が切れてね」
「本当にチートね」
「そんな人が書いた作品で」
「読んでもためになるのね」
「滅茶苦茶面白くてね」
そうしてというのだ。
「損はしないわ」
「読んでも」
「ええ、変な思想家の本よりも」
吉本隆明の様なというのだ。
「ずっとね」
「読んでいいのね」
「そう思ったわ、見たら作品も多しね」
「そういえば全集凄い巻数よね」
「色々発言もあったしね」
こちらも多かった。
「映画や舞台に出たりしてるし」
「忙しい人だったのね」
「みたいね、いや憧れるわ」
咲は唸ってこうも言った。
「イケメンだしね」
「そうそう、芥川や太宰もイケメンで」
同級生は咲の今の言葉に右手を指差す様に動かして言った。
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