第二章
[8]前話
「いや、朝から晩までですか」
「そう、寮に入ってね」
史奈はその社員に笑って話した。
「ずっとよ」
「バレーやってたんですか」
「もう勉強よりもね」
「バレーですか」
「そうだったわ」
「それって大変ですね」
社員は驚きを隠せない顔で言った。
「バレーばかりで軍隊みたいだったんですよね」
「そうよ、集団生活でね」
「身体動かして」
「衣食住いつもね」
「集団生活で」
「言うならね」
まさにというのだ。
「軍隊だったわ」
「そうですよね」
「規律も厳しかったしね」
このこともあってというのだ。
「本当にね」
「軍隊みたいだったんですね」
「高校の間ずっとね」
「僕は無理ですね」
「けれど本当にバレーが好きでね」
笑顔でだ、史奈は話した。
「心からもっと凄くなりたかったから」
「高校ではですか」
「そうしてね」
寮に入ってというのだ。
「三年間バレー漬けだったのよ」
「そうだったんですか」
「けれどね」
それでもとだ、史奈は社員仕事の合間に休憩の時たまたま一緒になり話している彼にさらに話した。
「好きだったしその時の経験があって」
「オリンピックにもですか」
「出られたしね、私としてはね」
「高校の三年間はですか」
「よかったわ、勿論辛いこともあったけれど」
「それでもですか」
「自分で決めてそうした場所だとわかっていたから」
覚悟はあったというのだ。
「やっていけたわ、そして本当にバレーが強くなって」
「選手にもなれて」
「オリンピックにも出られたからね」
だからだというのだ。
「よかったとしか思わないわ」
「そうですか」
「それで入学した時の部長さんがね」
「そのしっかりした人ですか」
「ええ、今オリンピックのチームの監督さんよ」
「平さんですね」
「今は結婚して名字が変わってるけれど」
それでもというのだ。
「あの人よ」
「そうですか、あの人がですか」
「私が入学した時の部長さんよ、そして私もね」
「係長もですか」
「今度結婚するから」
「そうですか、お幸せに」
「ええ、有り難う」
史奈は後輩社員に笑顔で応えた、そうしてだった。
暫くしてから結婚して息子も生まれた、夫と息子には優しい妻で母であり体育会系のノリはなかった。だがそれでもだった。
バレーで培った心と体力はそのままだった、その二つで以て家族と共にいて幸せに過ごしたのであった。たださぼらないことはよく言われた。
さぼれない部活 完
2023・2・23
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