第六話 宿屋と道具屋その五
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「あったらな」
「入ろうな」
「そうせなあかんわ」
「身体は清潔にやな」
施も言ってきた。
「いつもな」
「さもないと匂いするし」
「衛生的にもあかんな」
「そやからね」
「垢が全くないのもよおないが」
これはかえって身体を覆うものがなく風邪をひきやすくなるのだ、清潔過ぎるのもどうかということか。
だがそれでもとだ、施はあらためて言った。
「けれどな」
「不潔なんはね」
「あかんな、女の子にももてんわ」
「そやで、女の子なんて」
綾乃は笑って話した。
「実はめっちゃ匂いするから」
「えっ、そうなんか」
「そやで、更衣室なんかな」
女子のそれはというのだ。
「凄い匂いするで」
「そうなんか」
「それはほんまや」
シェリルも真顔で言ってきた。
「花園みたいやと思うやろ」
「それはな」
施も否定せずに答えた。
「女の子の着替え場所なんて」
「そう思うのは男子の妄想や」
「その実はかいな」
「悪臭ぷんぷん、しかも赤裸々な態度で着替えてあからさまな言葉が行き交う」
「地獄かいな」
「そや」
まさにというのだ。
「花園どころかな」
「というか女の子に幻想抱くなってことか」
トウェインは真顔で述べた。
「要するに」
「同じ生きものやで」
「人っていうか」
「性別の違いはあってもや」
シェリルはトウェインにも話した、それもクールに。
「その実はや」
「同じか」
「そや、それ言うと男の子同士でもやろ」
「あんなん見てええもんないで」
羅が答えた。
「男子更衣室なんかな」
「そやな」
「汗臭くて汚くてな」
そうした場所でというのだ。
「覗いてええことなんてな」
「全くないな」
「ああ、寮かてな」
こちらもというのだ。
「ボーイズラブのなんてな」
「架空やな」
「あんなんないわ」
全くというのだ。
「同性愛自体はあってもな」
「花園やないな」
「むさくるしいもんや」
それが現実だというのだ。
「ほんまな」
「それと同じや」
「女子更衣室もか」
「おトイレもお風呂場もな」
どれもというのだ。
「ついでに言うと寮もな」
「幻想を抱いて覗いたりするとか」
「地獄を見る、そしてな」
シェリルはクールなままさらに言った。
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