第六十六話 泳ぎながらその十
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「あの人のサインは」
「そうなのね」
「好きな野球の人だから」
それでというのだ。
「やっぱりね」
「それで好きになった理由は」
「その漫画からなんだよ」
「横浜を描いた漫画ね」
「佐々木さんが主役だから」
それ故にというのだ。
「もうかなりね」
「昔ね」
「そうした漫画だけれど」
それでもというのだ。
「当時の選手が大勢出て来て」
「横浜ファンの人にとってはあぶさんみたいな」
「そうよ」
まさにという返事だった。
「ホークスファンにはあの漫画でね」
「横浜ファンにとってはなのね」
「その漫画ってことよ」
「バイブルみたいな」
「本当にね」
「そんな漫画で」
「万永さんよく出て来て」
それでというのだ。
「面白かったのよ」
「そうだったの」
「ちなみに監督さんはね」
薊はこちらの話もした。
「最初は近藤さんでね」
「近藤さん?聞いたことあるわ」
富美子はその名前を聞いてすぐに言った、見ればその顔は思い出したという顔になっていてそこに全てが出ていた。
「あのスクイズ好きな」
「知ってるのね」
「何かワンアウトかノーアウトでね」
その状況でというのだ。
「ランナー三塁だと」
「そう、もうね」
薊はそれこそと答えた。
「スクイズしないとね」
「気が済まない人だったのよ」
「それでその漫画でもね」
「言われてたのね」
「スクイズしないと死んじゃう病だってね」
その様にというのだ。
「言われてたのよ」
「そんな病気あるのね」
「実際ね」
「スクイズ多かったのよね、あの人」
「だからね」
「漫画でも言われてたのね」
「その人の次は大矢さんで」
後任の監督はというのだ。
「運がないとか興奮すると頬っぺたが膨らむとか」
「言われたの」
「凄くいい人って言われてて」
それと共にというのだ。
「運がないとかね」
「頬っぺたが膨らむとか」
「言われてたのよ、ただあたし不思議なのは」
薊はここで首を傾げさせて話した。
「大矢さんってヤクルトでしょ」
「キャッチャーだったのよね」
「最初の優勝の時のね」
昭和五十三年の時である。
「そうなのに」
「何で横浜の監督になったか」
「このことがね」
どうにもというのだ。
「あたし今も不思議だけれど」
「あれじゃない?若松さんがいて」
富美子はこう答えた。
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