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その小さな女の子のことが気になってしまったんだが、どう接していけばいいんだろう
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次の日は朝から雨が降っていて、夕方になるにつれて強くなってきた。僕は、今日は雨模様なので歩いて来ていたのだが、帰るとき公園に眼をやると、あの女の子が傘をさして立ったまま下の景色を見詰めていた。
僕は、気になってしまったので、近寄って行って
「どうしたの? こんな雨が降ってるのに・・ 何 見てるの?」
「・・・」
「相変わらず だんまりかい? もう 足元がずぶ濡れじゃぁないか」と、僕は着ていたナイロンジャンパーを脱いで、その子の腰から下に巻いていった。その時、腰を引くようにして
「あっ いいんです 構わないでください こんなの困るぅー」
「だって 冷えるだろう そんなに濡れて 風邪ひくよ」と、僕は構わず、女の子の腰の前のところで袖の部分を結んでいって留めていた。
「・・・すみません」
「いいんだよ ねぇ ここで 何してるのー いつも 景色見て」
「・・・」
「あぁ ごめん 余計な お世話だよね じゃぁ お嬢ちゃん 名前ぐらい教えてよー」
「ゆきむら ななの」
「ななのちゃんかぁー きれいな名前だね どんな字なの?」
「なっぱ なっぱ 野原の野」
「へぇー かわいいね 何年生?」
「6年」
「そうか でも、今日は雨だし 暗くなるの早いから、もう帰りなさいよ おうちの人も心配するだろう?」
「・・・ ダメなの 6時過ぎるまで・・・」
「・・・ダメなのか ふ〜ん じゃぁ もう少し 僕も付き合うよ」
「あっ いいんです これ お返しします 帰ってください 私 ひとりで大丈夫です」
「ああ まぁ いいじゃぁないか 今日は 絵 描けないね 絵 描くの 好きなの?」
「・・・そーいうわけじゃぁないけど・・ でも 絵 描いていると 色んなこと忘れられるから・・」
「そうかぁー でも 上手だよ 絵 この前のも 丁寧だし」
「あのね ななはね 絵を描くのにね あのお家は幸せなのかなー不幸なのかなー とか 多分、赤ちゃんが居て、笑っているんかな泣いているんかな とか お金持ちなんだろうか、それとも貧乏 会社だったら 社長さんは怖いんだろうか優しいんだろうかなんて 想像しながら描いているんだぁ」
「そうかぁ 楽しそうだね 君の夢はなんだい?」
「・・・私は・・・夢なんて 持たないようにしてる…持っちゃぁダメなんだよ!」
「そんなー これからだろう まだ ・・・ そのー 子供なんだから」
「そりゃー いろんな人いるよ もう 帰るね おじさん ありがとう ジャンパー 温かかったヨ」と、言うとジャンパーを僕に返して、傘をさしたまま走って坂を下りて行った。
やっぱり、あの子は複雑な事情を抱えてるんだと僕は考え込んでいた
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