第八十六話 恋愛のダメージその十二
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「そしてわかりやすいのよ」
「そんなものですね」
「単純でね」
それでというのだ。
「読んですぐにわかるのよ」
「そんなものですね」
「太宰の言いたいことにしても」
「太宰の文章は読みやすいから」
「わかりやすいでしょ」
「走れメロスでもでそうですね」
人間失格と並ぶ太宰の代表作の一つである、友情と信頼の素晴らしさを書いた作品として有名である。
「物凄くわかりやすいです」
「かちかち山でもでしょ」
先程まで話していた作品のことも話した。
「そうでしょ」
「はい、無垢な女の子の怖さとですね」
「年甲斐もなく惚れたださい中年男の末路よ」
「その二つですね」
「物凄くわかりやすいから」
「もうそれは真理ですね」
「太宰は絶対にあんな教祖褒めないわね」
「そんなの想像も出来ないです」
咲は太宰のこれまで読んだ作品での彼の主張から答えた。
「ああした人はインチキだ嘘だって」
「言うわよね」
「太宰ならそうですね」
「そうしたことがわかるだけのものがあったのよ」
太宰にというのだ。
「知性とか常識とかがね」
「太宰は色々あった人ですけれどね」
「心中とかね」
「薬物中毒にもなって」
「そうだったけれど」
そうしたことは事実でもというのだ。
「まだ吉本隆明よりはよ」
「常識とかがあったんですね」
「間違いなくね、だから吉本なんかの本を読むより」
「太宰読んだ方がいいですね」
「他の作家さんのね」
「そうなんですね」
「私最近三島由紀夫をね」
この作家の作品をというのだ。
「よく読むわ」
「金閣寺とかの」
「実はこの人も恋愛もの多いから」
「そうなんですね」
「だから今恋愛のお話もしてるけれど」
「恋愛の勉強をするにもですね」
「いいから」
それでというのだ。
「よかったらね」
「三島由紀夫もですね」
「読んでね」
「はい、じゃあ」
「この人の文章は奇麗で」
三島のそれはそのことでかなり評価が高い。
「尚且つね」
「読みやすいですね」
「だからね」
「読んでみていいですね」
「恋愛のことだしね」
「そうしてみます」
「ええ、図書館にもあるし」
学校のそちらにもというのだ。
「よかったらね」
「読んでみます」
こう言って実際にだった。
咲は漫画を読むことを中断し図書館に行き試しに三島の作品を借りて読むことにした、そこでまた一つの経験を経たのだった。
第八十六話 完
2022・11・8
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