第七話 沖縄その二
[8]前話 [2]次話
「あいつ幾ら何でも凄過ぎるな」
「成績も抜群だしな」
「特に何もしてないのに」
「隠れて努力してるのか?」
「そんな筈ないだろ」
「東京から来たっていうが」
「何者なんだ」
こう話した、そしてだった。
ここでも怖れる者がいた、そのうえでだった。
「おい、嘘だろ」
「ゴールドエンペラー一人で壊滅させた?」
「あの沖縄一のゾクのチームをか」
「嘘じゃないよな」
「幾ら何でもないだろ」
喧嘩の強さも有名になっていた、しかし。
自分からは決して喧嘩をしなかった、悪事もせず近寄り難い雰囲気だった。それで余計に噂になった。
「何考えてるんだ」
「普段何してるんだ」
「わからない奴だな」
「不気味だな」
「近寄りにくいな」
「どうしてもな」
避ける者が増えた、兎角だ。
神威はその力を見られかつ怖れられた、そして自分からは決して誰にも近寄ろうとしなかった。それでだ。
中三の頃クラスメイトの誰にも声をかける者に聞かれた。
「司狼お前人嫌いか?」
「いや」
神威は率直に答えた。
「別にな」
「けれどいつも不愛想だな」
「そうか」
「表情なくてな」
そしてというのだ。
「人に近寄らないだろ」
「だからか」
「何かあるんじゃないかってな」
その様にというのだ。
「思ったけれどな」
「別にない」
神威はこう返した。
「俺は」
「別にか」
「ただな」
「ただ?」
「東京のことを思うとな」
「ああ、お前昔東京にいたな」
クラスメイトはこのことを思い出して言った。
「そうだったな」
「今はこっちにいてもな」
「東京のことを思い出してか」
「そしてな」
それでというのだ。
「考える時が多い」
「そうなんだな」
「それだけだ」
「そうか、東京に帰りたいか」
「実はな、だが帰っては駄目な様な」
そうしたというのだ。
「思うこともな」
「あるんだな」
「ああ、どうもな」
それはというのだ。
「俺は」
「複雑だな」
「これが複雑か」
「そう言うのかもな」
こうしたことを話したりもした、そして。
高校に進学したが不意にだった。
家に帰る時に家に火事があった、それで慌てて戻ったが。
これが運命のはじまりだった、そして今彼は夢の中で丁と会っていた。丁はその中で彼に挨拶を告げた。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ