第二章
[8]前話
「そうしたこともです」
「考えられるな」
「横領も色々やり方があるな、それで問題はな」
「誰がしていたか」
「ああ、それだな」
「はい、これは社内の誰もがです」
それこそとだ、三枝子は冷静に話した。
「有り得るので」
「偏見なくか」
「調べていきましょう」
「そうするか」
「ベテラン社員でも誰でもです」
「先代の頃からの人でもか」
現会長、奥平の実の父の頃からというのだ。
「そうするか」
「もう誰でもです」
「社内のか」
「そうしましょう、厳格に」
「そうか、じゃあやっていこうな」
「調べていきましょう」
三枝子の言葉は強いものだった、こうして二人で社内の調査を進めていった。すると徐々にではあるが。
横領の実態がわかってきた、会社の経理のデータを改竄したり架空請求や架空の取引等を行ってだ。
年に数百万で横領があった、そしてその犯人は。
「まさかな」
「はい、私も驚きました」
三枝子は社長室で社長に話した。
「まさか瀬戸内さんとは」
「先代からずっとな」
「もう何十年もですね」
「会社で働いてくれてな」
「縁の下の力持ちでしたね」
「真面目で面倒見がよくてな」
奥平はその瀬戸内のことも話した。
「私もな」
「何かと助けてもらいましたね」
「ああ、そんな人がか」
「実はお金には汚い人で」
「横領をずっとしていてな」
「貯め込んでいたなんて」
「思わなかった、しかしな」
それでもとだ、奥平は言った。
「横領の実態はわかったからな」
「後は対処ですね」
「ああ、瀬戸内さんには辞めてもらって」
「賠償金を請求しますね」
「そうする、何でもあの人は今回のことで旦那さんから離婚させられてな」
「親権も失いますね」
「しかしこれも社会的責任だ」
奥平は公の立場社長のそれから言った。
「それは取ってもらおう」
「会社として」
「そうしていこう、しかし誰でもな」
「横領をしていたりしますね」
「まさかと思った人でもな」
「そのことは大きな教訓ですね」
「今回のな」
こう言うのだった、そして後の処理もしていった。二人にとっては何かと考えるところのある正直言って不愉快な経験であった。だが大きな経験としてその胸に止めたのだった。
横領していたのは誰か 完
2023・2・21
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