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優しさを分け合う子供と猫
第二章

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「こんな話がね」
「アメリカにあったんだ」
「そうなの、何かね」
 こう夫に言うのだった。
「このお話ってね」
「うちと似てるね」
「ブレイザーとね」
「そうだね」
 ここで二人でだった。
 今は寝ている夫そっくりの顔の息子を見た、二歳半年下で母親そっくりの顔をした妹のメアリーも一緒だ。
「何処か」
「ブレイザーはね」
「うん、自閉症でね」
「ちょっとしたことでね」
「癇癪を起こしたりね」
「泣き喚いたりしていたけれど」
「それがね」
「ニャア」
 ここでだった。
 一匹の黒くてその中に白い模様がある雄猫が来てだった。 
 ブレイザーのところに来て丸くなった、夫婦でその猫を見てあらためて話した。
「ビリーが来てくれて」
「いつもあの子と一緒にいてくれる様になって」
「そしてね」
「いつも癒してくれてね」
「癇癪を起しそうになったり」
「泣きそうになったらね」
「いつも傍に来て声をかけてくれて」
 そしてというのだ。
「寄り添ってくれて」
「一緒にいてくれるから」
「自閉症が治ったよ」
「そうなったわね」
「猫はね」
 夫は丸くなってブレイザーと一緒に寝だしたビリーを見て話した。
「我儘とか気ままとか言われてるけれど」
「その反面家族思いでね」
「何かあれば」
「寄り添ってもくれてね」
「癒してくれるな」
「そうしてくれるわね」
「アメリカでもそうで」
 アイビー達のことをだ、夫も言った。
「そしてうちもだね」
「そうね、ビリーは捨て猫で」
「そこから施設に保護されて」
「私達のところに来てくれたけれど」
「来てくれてよかったよ」
「うちにね」
「ああ、だからな」
 それでというのだった。
「これからもな」
「ずっと一緒ね」
「ビリーとフレイザーは」
「そしてメアリーと私達もね」
「皆な」
「これからもね」
 まさにというのだった。
「そうして暮らしていきましょう」
「そうしていこうね」
「何かとあるけれど」
 それでもというのだ。
「一家全員で」
「暮らしていこう」
「フレイザーの自閉症も治ったし」
 ずっと心配で困っていたこれもというのだ。
「困難があってもね」
「乗り越えられるしね」
「皆で力を合わせて」
「やっていきましょう」
「そうしよう」
 二人で笑顔で話してだった。
 子供達そしてビリーを優しい目で見た、彼等は今も幸せそうに寝ている。フレイザーの横にいるビリー小さな男の子を救った彼もまた。


優しさを分け合う子供と猫   完


                 2023・2・21
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