第十八話 我が子を喰らうサトゥルヌスその七
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を」
「その通りだよ」
闇の中でも必死に周囲を見回す雪子にだ。声はまた告げた。
「じゃあいいね。来てもらうよ」
「よ、寄らないでよ!」
手には棒を持っている。その棒を。
手当たり次第に振り回し迫り来るであろう声の主を打とうとした。だが。
それは虚しく空を切るだけだった。何も感触はない。
しかしその声の主は迫ってきていた。それは雪子にもわかった。
恐怖が次第に来ていた。そして。
その腹に鈍い痛みが走った。それと共に意識を失った。
意識を取り戻した場所はコンクリートの暗い部屋だった。その目の前には一枚の絵があった。
おぞましい絵だった。赤褐色の肌に黄色い髪の男が虚ろな顔で両手に持った何かを食べていた。
それは人間の身体だった。全裸の白い人間の身体を食べている。既に頭と肩のところを。そしてそこからさらに食べようとしている。
食人の絵だった。巨大な男が小さな人間を食べている。おぞましいその姿に相応しい背景は闇の様に黒く地獄の様だ。その絵があった。
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