第六十六話 泳ぎながらその一
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第六十六話 泳ぎながら
富美子はこの時所属している吹奏楽部の面々と一緒に水着を着て海水浴場で楽しんでいた、具体的には泳いでそうしていたが。
その彼女にだ、赤毛でショートカットの娘が声をかけてきた。
「あんた泳ぎ上手だね」
「そうかしら」
「ああ、上手だよ」
少女は富美子に明るく告げた。
「本当に」
「そう言うあんたは確か」
「拳法部でね」
「バイク乗ってるわね」
「オフロードのね」
「そうよね、確か」
自分と同じ黒と黄色の競泳水着姿の彼女を見て言った。
「天枢さんよね」
「天枢薊だよ」
笑って自分から言ってきた。
「宜しくな」
「普通科だったわね」
「そうさ、それで寮で暮らしてるよ」
「寮生なのは知らなかったわ」
「元々横浜にいてね」
薊は自分のことをさらに話した。
「それで学校はなんだよ」
「こっちに通ってるのね」
「縁があってね」
どういった縁かは言わなかった。
「それでだよ」
「そうだったわね、あたしは村山富美子よ」
富美子も名乗った。
「商業科で吹奏楽部よ」
「そっちだね、あんたは」
「ええ、しかし拳法部っていうには」
薊のそのスタイルを見て話した。
「何かね」
「どうしたんだい?」
「いや、何か威圧感っていうか殺気っていうか」
「そういうのないんだね」
「明るいわね、あんた」
薊に笑って話した。
「雰囲気が」
「よく言われるよ」
「そうなのね」
「有り難いことにね、それであんた泳ぎ上手だけれど」
薊は富美子のこのことについて言ってきた。
「何かしてたの?」
「水泳を?」
「スイミングスクール行ったりね」
「別にしてないわよ」
富美子は正直に答えた。
「時々遊ぶ位よ」
「そうなんだね」
「ええ、別にね」
またこう言うのだった。
「水泳はね」
「習ってないんだね」
「特にね」
「その割に上手だね」
「そうかしら」
「というか吹奏楽部の娘達ってね」
富美子以外の周りで遊んでいる彼女達も見て話した。
「皆引き締まった身体してるね」
「運動部みたいに?」
「ああ、そうだね」
「だって毎日走ってね」
富美子は薊にどうしてか話した、二人で海の中にいて向かい合って話している。今は泳ぎはしてはいない。
「サーキットだってね」
「してるんだね」
「吹くのにも体力いるから」
楽器をというのだ。
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