第二章
[8]前話
恭子は天重にこう言った。
「駆け落ちしたみたいよ」
「学校はどうなったんだ?」
「何も言ってきてないわ」
「退学届出したとかなら連絡来るしな」
「もうそういうのなしでね」
「駆け落ちか」
「ええ、そうみたいよ」
夫に呆れた顔で話した。
「二人でね」
「今十時か」
「今頃電車の中かしら」
「やれやれだな、じゃあな」
「それじゃあね」
「警察に連絡するか」
「それには及ばないわよ」
妻は呆れている夫に冷静に述べた。
「二人が制服のままならね」
「ああ、だったらな」
「わかるでしょ」
「ああ、先が見えてるな」
「全く、馬鹿なんだから」
恭子は呆れた顔で言った、そしてこう言った一時間程後で警察から連絡があった。二人は補導員に県内一の繁華街で制服姿でとりあえず泊まる場所を探してラブホテル街を歩いていて見付かって保護されたのだ。
そしてすぐに家に戻されてだった。
二人でそれぞれの両親に一晩中こっぴどく叱られた、聞けば一緒に学校帰りに思い立って駆け落ちをしたがあてもなく繁華街を彷徨っていたという。
二人で真夜中迷いかなり怖く必死に寄り添い合ってだ。
しかも親達に怒られてすっかり反省してだった。
二人は大人しくなった、それで高校卒業までは静かにしそれぞれ就職をしてから結婚して自分達でマンションを借りて住む様になったが。
時々二人の高校時代のことを思い出してだ、恭子は夫に話した。
「全く、今は落ち着いてるけれどね」
「二人共あの時はやんちゃだったな」
「私達もあちらもお付き合いはいいって言ってるから」
「就職してから結婚してよかったのにな」
「それでも早く結婚したいって言って聞かなくて」
「駆け落ちまでしてな」
「馬鹿だったんだから」
こう言うのだった。
「本当にね」
「ああ、今じゃ二人共子供もいてな」
二人から見れば孫である。
「すっかりいい親になってるが」
「あの時はね」
「馬鹿だったな」
「けれど今は落ち着いたから」
「よかったな」
「例え高校時代馬鹿やってもね」
「それで反省して落ち着いたらな」
夫も笑顔で言った。
「それならな」
「いいかもね」
「そうだな、犯罪もやってないし」
「あれ位の馬鹿はね」
「いいか」
「今思うとね」
こう話すのだった、あの頃の二人を振り返って。
高校生の駆け落ち 完
2023・2・19
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