暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第147話:乾いた大地に水を撒く様に
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す様に、先程までこの場に居なかった男が声を上げた。

「んな簡単に諦めんのか?」
「は、颯人ッ!?」

 治療室の入り口から聞こえた声に奏がそちらを見れば、そこには扉の縁に寄りかかった颯人が居た。奏達の顔には何故彼がここに居るのかという疑問が浮かんでいた。

「颯人、お前もう大丈夫なのか?」

 と言うのも、獅子機の爆発からキャロルと奏を守る為、颯人は全力で魔法を使い2人を守ったのだ。その結果キャロルも軽傷で済ませる事が出来たが、それでも小型の太陽とも言うべき獅子機の爆発力は颯人の魔力を根こそぎ奪っていき、本部にキャロルを連れていった時点で限界に達しぶっ倒れていたのだ。
 特別命に別状があるほどの事ではなかったので、近くのベンチに横たわらせ眠らせていたのだが、ウィズ曰く丸1日は確実に起きないだろうと言われていた。

 その颯人がこの場に居るのだから、奏達が驚くのも無理はない事であった。

「問題無し……と言いたいところだけど、ぶっちゃけまだ頭フラフラ。気ぃ抜いたら今にも倒れちまいそうだよ」
「当然です。あれ程一気に魔力を使ったのですから。一体何をしに来たんですか?」
「何、ちょっと様子見にな」

 そう言って颯人は奏達の間をすり抜けてベッドに近付くと、キャロルとは反対側に回りハンスの寝顔を覗き込んだ。

「……自分が死ぬかもしれないほど、魔力をつぎ込んで惚れた女を守る。傍から見りゃ馬鹿なのかもしれないが…………気持ちは分かる。なぁ? 透、ガルド?」

 自分と同じく、愛する者の為に命を賭けれる男達に同意を求めれば、2人は互いに顔を見合わせ頷いて見せた。

「確かに……ハンスの気持ちは痛いくらい分かる」
〔僕も同じです。クリスの為だったら、命だって賭けられます〕

 2人の答えに、颯人は満足そうに頷くと一つの指輪を取り出しキャロルが握っているのとは逆の手に嵌めてやる。

「それは……?」
「物は試しだ」
「ッ! 颯人待ちなさいッ!?」

 颯人が何をしようとしているかに気付いたアルドが止めようとするが時すでに遅し。指輪を嵌めたハンスの手を、颯人は自らのハンドオーサーの前に翳した。

〈プリーズ、プリーズ〉
「ぐっ!?」

 颯人がハンスに使ったのは、魔力譲渡の魔法・プリーズ。本来であればそれは魔力を切らした仲間の魔法使いに、自分の魔力を分け与えて戦うか逃げる余裕を与える魔法である。
 だがそれは言うまでもなく、分け与える側にある程度の魔力の余裕がある事が前提の魔法。今の全力を出し切った後の颯人が使っていい魔法ではない。

 案の定残り僅かとなっている魔力を、無理して絞り出した影響か颯人の顔に嫌な汗が浮かんだ。
 それを見て慌てて奏が颯人をハンスの傍から引き離した。

「おま
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