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イベリス
第八十六話 恋愛のダメージその三

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「幾らでもしたらね」
「いいのね」
「ご飯もルーもたっぷりとあるし」
 それだけ作ったからだというのだ、実際に複数の部の部員達で相当な量を作っていて明日の朝も食べられる程だ。
「好きなだけね」
「食べていいんだね」
「そうよ」
「じゃあおかわりするね」
「そうしてね」
「いやあ、いいよね」
 イギリスから来た彼も言った。
「このカレーだから僕もね」
「おかわりするのね」
「そうするよ、日本のカレー最高だよ」  
 笑顔でこう話した、そしてだった。 
 食事の後は片づけをしてだった。
 咲は自由時間を迎えたが先輩達は受験勉強に忙しく、
 一年及び二年だけの時間となっていたが咲は夜の部室で漫画を読みつつ夕食を作る時に話した恋愛の怖さのことをだった。
 今は漫画部の女子の先輩二年生の彼女にした、するとだった。
 その先輩は今読んでいる推理漫画に目をやったままこう返してきた。おかっぱで目が大きく楚々とした感じだ。
「そのお話有名よ」
「本校のですね」
「ええ、太宰の話もね」
「かちかち山も」
「太宰なんて知らない人いないでしょ」
 それこそと言うのだった。
「日本で」
「教科書にも出ますし」
「もうね」
 それこそというのだ。
「あの人はね」
「知らない人がいない位にですね」
「有名人だしね、本校のお話もね」
 こちらもというのだ。
「ここ東京校でもね」
「知らない人いないですか」
「それで振った女と裏切った友達もどき二人もね」
「有名ですから」
「ええ、屑でね」
 そうした評価でというのだ。
「もうね」
「有名ですか」
「知らない人いないでしょうね」
「この学校でも」
「幸い新たな恋人に出会えたからよかったけれどね」
「ずっと優しい本当のお友達もいてくれて」
「それでね」
 そうした状況だったのでというのだ。
「助かったけれど」
「そのお二人がいないと」
「もうね」 
 それこそというのだ。
「地獄だったわよ」
「そんな酷いお話ですね」
「ええ、だから八条学園ではね」
 この東京校もというのだ。
「恋愛とか告白はね」
「かなり慎重になる人が多いんですね」
「自分がそうなりたくないからね」
 先輩は咲に深刻な表情で述べた。
「太宰のかちかち山にしてもね」
「惚れたが悪いかですね」
「悪い筈ないでしょ」
 先輩は即座にこう返した。
「恋愛は自由でしょ」
「身分とかないですからね」
「今の日本ではね」
 まさにというのだ。
「それじゃあよ」
「誰でもですね」
「不倫じゃないなら」
 それを前提としてというのだ。
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