第十七話 死の島その十二
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「そしてそれからも処刑は続きます」
「くっ、悪魔か君は」
「悪魔ですか」
「そこまでできる。それは悪魔ではないのか」
「悪魔は貴方です」
他ならぬ由人だとだ。十字は淡々とした口調で返した。
見れば目にも表情はない。琥珀の輝きを放つその目には感情が一切ない。ただ輝いている、それだけの瞳でありまるで人形の様だった。
由人はそれを見てえも言われぬ恐怖を感じた。十字の持つその恐ろしさに。
そしてその十字がだ。こう彼に言ったのである。
「罪もない少女達を陵辱し薬に溺れさせ快楽の宴を貪った貴方は」
「そう言うのか」
「そうです。そして悪魔を罰するのは」
それはだというのだ。
「神の代理執行者です」
「それが君だというのか」
「悪への裁きの代行には情はありません」
それは決してだというのだ。
「あるのは悪への憎悪。そして」
さらにだというのだ。
「絶対の無慈悲があるだけです」
「だからか」
「悪人への裁きの代行は容赦は無用です」
こう言ってだった。
「あの四人への裁きの代行も貴方へのそれもまた」
「容赦しないというのか」
「苦しみ抜き、このうえない絶望と恐怖を味わい」
言いながらゆっくりとだった。
十字はその巨大な車輪を両手で持ち上げていった。そうして。
その車輪をまずは由人の右手に振り下ろした。それにより。
肩から、由人のその腕が粉々に砕かれた。最早彼の右腕は完全に潰された。
再び声にならない絶叫が起こる。だがそれだけではなかった。
左腕も肩から破壊される。続いて右脚が腿の付け根から、同じく左脚も。由人の両腕両足は完全に砕かれ砕かれたところから肉片と千切れた皮膚、それに骨と血が出ていた。
由人は最早息も絶え絶えだった。だが。
十字はそれに終わらなかった。恐ろしい激痛により息も絶え絶えになっている彼をその血で汚れた車輪にくくりつけた。ただくくりつけたのではない。
その砕けながらもまだ残った皮膚や繊維でつながっているその両腕と両脚で寝かせた車輪に絡み付かせて仰向けに置いたのだ。そうしたのである。
そのうえで彼に水をかけて意識を戻してだ。こう告げたのである。
「お気持ちは如何ですか」
「これが君の処刑なのか・・・・・・」
「車輪刑は本来はここから外に死ぬまで晒します」
「本来はだと。それでは」
「貴方への処刑はまだ行われます」
「今度は一体何をするのだ」
凄まじい鈍い激痛の中で。由人は十字に問うた。
「私はもう死ぬ。それでもか」
「西洋には他にも面白い刑罰があります」
十字は今回も淡々と述べる。
「貴方への止めはそれにします」
「何だ。それは」
「
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