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DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜 
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前の二人の方が遥かに手強い。そしてこの後に続く選手たちの方が力がある。

(小技もあるけどソフィアの球速ならそれも許さないはず。押し切るよ、ソフィア)

初球はストレートのサイン。ソフィアもそれに頷き投球に入る。

(まだ終わってない。あと一人……最後まで集中して……)

残り一人でもマウンドの少女は緩みがなかった。放たれたストレートはまたしてもMAXのスピードが出ていた。紗枝はそれを振っていくが空振り、それも完全に振り送れている。

(やっぱ速い。普通に打ったら打てない)

空振りした後、大きく息を吐き出す紗枝。その表情の移り変わりにリュシーは違和感を覚えた。

(なんだ?なぜそんなに自信を持って構えられる?)

とても打てそうになかった彼女は空振りをした直後は空を仰ぎ諦めたかのような表情を浮かべていた。にもかかわらず、今構え直した彼女の表情は全く迷いがないものに変わっている。

(諦めて開き直ったか?それともまだ何かここから逆転する方法があるのか?)

あるとすればと思考を行うリュシー。彼女は紗枝の姿を見て改めて考察する。

(振り遅れてるのにバットは長く持ったまま。ということは打つことは考えてないはず。セーフティバントかな?)

バントとなるとスプリットは当てられる可能性がある。低めは転がしやすい上に球速も落ちる。相手がボールを捉えきれていないならストレートで押し切る方が吉とソフィアへサインを送った。

(もう一球ストレートか。大丈夫、私なら投げ込める!!)

自信が表情から滲み出る。打たれる気も打たせる気も更々ない彼女は最後も三振で締め括るために次の投球も全身全霊で腕を振るう。

(勝負はこの一球。これがストレートじゃなかったらもう私の負け)

内野手がリュシーの指示を受けてバントに意識を向けている中、紗枝はバントの素振りを一向に見せない。

(ここからじゃバントはない、じゃあ一体どうやって打つつもりだ?)

彼女の表情の変化は両軍の指揮官も本部席にいた町田も佐々木も気付いていた。しかし彼女は何か小細工をする様子はない。

「バッティングには色んな定説があるよな」
「なんですか?突然」

試合に集中したいのに町田が話しかけてくるためそちらに気が向いてしまう。彼女の思考に気付いているのか分からないが、町田は話を続ける。

「手首の返し方、タイミングの合わせ方、体重移動の仕方、色んな意見がありすぎて多くのバッターは混乱してしまう。だが、その中で確実に一つだけ、どのバッターでも必ず統一して指導されることがあるよな?」
「後ろを小さく前を大きく……ですか?」

コクリと頷く。ボールに最短距離でバットをぶつけフォロースルーを大きく取ることにより打球に勢いを増す
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