第八十三部第二章 撤退の果てにその五十四
[8]前話 [2]次話
「非常に」
「左様ですね」
「どうしてもです」
「何故彼等があそこまで差別されるか」
「そうされねばならないのか」
それがというのだ。
「私にもです」
「わからないことですか」
「カースト制度は職業分化であり」
「それを階級にしたものですね」
「それが社会秩序にもなっていますが」
このことは事実である、マウリアにおいてはヒンズー教のそれが確かに社会秩序を形成する要素となっているのだ。
「しかしです」
「それでもですね」
「被差別階級が存在し」
そしてというのだ。
「あそこまで虐げられていることは」
「わからないですか」
「不浄という考えは日本にもあります」
神道にというのだ。
「穢れ思想です」
「穢れを祓うとありますね」
「はい、そして清めます」
その穢れをというのだ。
「伊邪那岐尊の様に」
「伊邪那美尊とのお話ですね」
「冥界から帰りましたが」
「その穢れを清めましたね」
「冥界、死の穢れを」
そうしたというのだ。
「海に入り清めましたが」
「それがですね」
「はい、清めであり」
それでというのだ。
「それにある通り」
「日本にも穢れの思想がありますか」
「清めと共に、ですが」
それでもとだ、八条は話した。
「ああしたです」
「その様にですか」
「差別することは」
流石にというのだ。
「なかったので」
「日本でも」
「被差別階級は存在しました」
そう呼ばれる者達はというのだ。
「穢多や非人という」
「そう呼ばれる人達がいたのですね」
「そうした人達は確かにいましたが」
それでもというのだ。
「あそこまでの差別はなかったとのことです」
「徹底したものは」
「江戸時代でも」
その階級が存在していた時代でもというのだ。
「流石に」
「そうでしたか」
「あれはどうも」
マウリアの差別はというのだ。
「まことに」
「極端ですか」
「はい」
「日本にあった差別よりも」
「流石にあそこまでは。触れてもいけないですね」
マウリア内のアウトカースト層へのそれはというのだ。
「そうですね」
「教義で定められていますね」
「ヒンズー教の」
「そこまでは、ですか」
「日本でもなかった筈です」
「そうですか」
「江戸時代でもでした、そして明治維新以降は」
それからはというと。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ